2020年09月26日 12:26 公開

フランス・パリで25日、2015年に襲撃事件が起きた風刺週刊紙「シャルリ・エブド」の元本社近くで男女2人が刃物で襲われ重傷を負った。ジェラルド・ダルマナン仏内相はテロ事件として捜査していると明らかにした。

ダルマナン内相は、襲撃事件が「シャルリ・エブド」元本社近くで起きたと述べ、「明らかにイスラム教主義者によるテロ行為」だとした。

この事件では、主犯格とされるパキスタン出身の18歳の男が現場近くで逮捕された。

警察によると、ほかに6人が拘束され、取り調べを受けている。

被害に遭ったのはテレビ制作会社に勤務する男女2人で、なた型の刃物で襲われて重傷を負ったという。

ジャン・カステックス首相は、リシャール・ルノアール通りから程近い事件現場で記者団に対し、被害者2人の命に別状はないと述べた。

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2015年1月7日に起きた襲撃事件では、シャルリ・エブドの社屋内でイスラム教徒の襲撃犯2人が銃を乱射し、有名漫画家ら12人が死亡した。

銃を乱射した2人を手助けしたとされる被告14人に対する裁判が今月2日から始まり、注目を集めている中で、今回の事件が発生した。

シャルリ・エブドは2015年の事件後に移転。現在の所在地は隠されている。

当局の発表内容

ダルマナン内相は仏テレビ・チャンネル「フランス2」のインタビューで、「我々の国とジャーナリストに対する血なまぐさい襲撃が再び起きた」と述べた。

「現場はかつてシャルリ・エブドがあった通りだ。これがイスラム原理主義テロリストのやり方だ」

ダルマナン氏は、ユダヤ暦で最も神聖な日とされるヨム・キプルの祭日(9月27日)を控える今週末に、シナゴーグ(ユダヤ教礼拝所)周辺の警備を強化するよう命じたと明かした。

主犯格の男の名前は公表されていない。ダルマナン氏によると、この容疑者はパキスタン国籍で3年前に未成年で渡仏した。

容疑者が過激化しているという情報はなかったが、過去にドライバー(ねじ回し)を所持していたとして逮捕されたことがあると、ダルマナン氏は付け加えた。


25日に何があったのか

被害者2人の同僚たちによると、2人はテレビ制作会社Premieres Lignesの外でタバコを吸っていたところを襲われた。

同社は、シャルリ・エブド本社があったリシャール・ルノアール通りからすぐ脇に入ったところのニコラ・アペール通りに位置する。近くには2015年の事件の追悼壁画がある。

「窓から外を見ると、血まみれになった同僚1人がなたを持った男に追いかけられていた」と、制作会社の従業員は匿名を条件に述べた。

「2人ともかなりの重傷を負っていた」と、同社の創業者で共同経営者のポール・モレイラ氏はAP通信に述べた。

事件を受け、警察はパリ東部の11区をすばやく封鎖した。なたや肉切り包丁のような刃物が近くで発見された。

付近の複数の地下鉄の駅が閉鎖された。5つの学校も直ちに封鎖されたが、数時間後に再開された。

警察はバスティーユ広場で男を逮捕した。それからほどなくして、アルジェリア出身とされる男も拘束された。

数時間後には、主犯格の自宅とみられる建物の捜索中に、パキスタン出身とされる別の男5人が北東部パンタン郊外で拘束されたと、仏メディアが警察の話として報じた。

シャルリ・エブドはツイッターで、同社の「かつての隣人たちや(中略)この醜悪な襲撃の影響を受けた人々への支持と連帯」を表明した。

2015年の襲撃事件の裁判

シャルリ・エブドは2日付の紙面に、2015年の編集部襲撃事件につながったイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を再掲載した。この日に始まる裁判に合わせたという。

2015年に掲載された風刺画をめぐっては、イスラム教徒が多数を占める国々で怒りを買い、抗議行動を引き起こした。

風刺画の再掲載を受けて、過激派組織アルカイダは再び襲撃が起きる可能性があると警告した。

同紙の人事部長は今週初め、殺害をほのめかす脅迫を受けたとして、自宅を出たと明かした。

14被告は今回の裁判で、シャルリ・エブド編集部襲撃事件のほか、警官1人が射殺された事件と4人が死亡したユダヤ系食料品店での事件で、武器を入手し、実行犯の移動などを支援した罪に問われている。

3日間に及んだ一連の事件で、合わせて17人が犠牲になった。襲撃犯3人は全員、警察に射殺された。

この事件の後、同年11月にはパリ連続襲撃翌年3月にはブリュッセル連続襲撃7月にはニース襲撃など、イスラム聖戦主義者による無差別攻撃が欧州各地で相次いだ。

(英語記事 Paris stabbing attack 'an act of terrorism'