さて、菅氏は当初、自民党総裁選に立候補しないような雰囲気を醸し出しつつも、裏では華麗な当選に必要な支持票をきっちり固めていた人物だ。発言の裏にある戦略は、これから見てみないと評価などできない。

 閣僚人事の顔ぶれは、改革を掲げる菅内閣にはふさわしくない気もする。だが、総裁選で多くの重鎮議員に支えられて当選したのだから、それをないがしろにしては国政をスムーズに進めていくことは絶対にできない。恩をあだで返せば、足を引っ張られて成果を残せずに菅内閣は終わってしまう。TBSのドラマ『半沢直樹』風に言えば、「施されたら施し返す、恩返しです」。議員も人の子、感情がある。

 ただ、小泉環境相の留任には大いに落胆した。お父さまの小泉純一郎元総理にお世話になった人があまたいるので、そのつながりでやむを得なかったのかもしれないが、これっぽっちも国民のためになる人事とは思えない。

 小泉環境相には大臣職に就くための勉強期間や、大臣として政策を実現するための仲間集めの期間がまだ必要だったのではないかと思う。コロナ禍で国民が疲弊している今年4月、「ごみ袋にメッセージを書きましょう」なんてお気楽なことを記者会見で真剣に話すような大臣が留任とは、いくらなんでも見るに堪えない。

 たくさんいすぎて、重要視されていないようにしか見えない副大臣や政務官のような「充て職」ではないのだから、ここは考えていただきたかったと菅氏に申し上げたい。

 高齢の重鎮議員を重用すれば、若者世代のためにならないという批判もあるが、次の解散総選挙までは長くとも約1年しかない。この超短期間で大きな成果を残すことは至難の業だ。菅氏は安定した閣僚人事を行い、彼らの下についている派閥議員らも一緒に動かすことを目論んだに違いない。そして、少しでも成果を残し、解散後にも引き続き総理の座に就くことを狙っているだろう。
衆院本会議に臨む小泉進次郎氏=2020年9月16日午後、国会・衆院本会議場(酒巻俊介撮影)
衆院本会議に臨む小泉進次郎環境相=2020年9月16日、国会・衆院本会議場(酒巻俊介撮影)
 次の衆院選までに菅氏がどのような成果を出すか注視し、国民の利益にならぬ不適切な部分が見受けられたら正していくのが、野党の政務の一部となる。こういうときに、自称「与党でも野党でもない」日本維新の会は、国政でどういう役割を果たすのだろうか。お題目のように、是々非々で臨むと言っていれば、熱烈な維新支持者には「やったふり」ができると思っているのだろうが、そろそろ仕事をしていただきたいものだ。

 長期にわたる安倍政権が終わり、菅政権が誕生した今、国民にとっては、国政選挙に1票を投じる判断材料として、新しい目で各党のお手並みを拝見できるよきチャンスだ。