2020年10月05日 14:49 公開

アゼルバイジャンとアルメニアによる係争地をめぐる戦闘は、アゼルバイジャン第2の都市ギャンジャに砲撃が及ぶ事態に陥った。同国当局が4日、明らかにした。

両国が帰属を主張するナゴルノ・カラバフ地域は、国際的にはアゼルバイジャンの一部と認められているが、アルメニア系住民が実効支配している。

同地域の自治当局は、中心都市ステパナケルトがアゼルバイジャン軍のミサイル砲撃を受けたことから、アゼルバイジャン・ギャンジャの軍空港を攻撃し、破壊したと述べた。

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一方、アゼルバイジャンの防衛省は4日、ギャンジャが砲撃されたとする声明を発表。戦闘を拡大する挑発的な行為だとした。

その後、ギャンジャの軍施設は攻撃を受けておらず、民間人や古代の歴史的建造物に被害が出たとの声明を出した。

地元メディアによると、ギャンジャでは民間人1人が死亡したという。


「街中に犠牲者」

BBCアゼルバイジャン語のコヌル・カリロワ編集長は、人口33万人超のギャンジャの市民らの声を伝えた。

ある市民は、「大きな爆発音が聞こえた。ショックを受け、恐ろしかった。子どもたちは怖がっていた。アパートを出てシェルターに行った」と話したという。

主要病院の看護師は、けがを負った民間人数人が病院に運び込まれたとし、「夫は血だらけの女性の遺体を見た。街中に犠牲者がいる」と述べたという。

別の市民は、ナゴルノ・カラバフ地域の分離独立派がアゼルバイジャン主要都市の住民に避難するよう警告する中、「私たちは自宅からも街からも逃げない。国内難民になるつもりはない」と話したという。

双方に多数の死者

9月27日に始まった戦闘では、双方の死者は計220人を超えている。

ナゴルノ・カラバフ自治当局は、これまでに部隊の兵士201人と多数の民間人が死亡したとしている。

一方、アゼルバイジャンは、民間人22人が死亡したと発表。軍の死傷者は明らかにしていない。

旧ソビエト連邦を構成していた両国は、ナゴルノ・カラバフ地域をめぐって1988~1994年に戦争となった。停戦に合意したが、問題の解決には至っていない。

今回の戦闘は、1994年の停戦以降で最悪のものとなっている。双方が相手に非があると主張し合っている。


アゼルバイジャンの市民に警告

アルメニア系の通信社によると、ナゴルノ・カラバフ地域の中心都市ステパナケルトは大きな被害に見舞われており、停電状態になっている。3日には、市外へ避難する住民らの乗ったバスが何台も走っていたという。

同通信社は、ナゴルノ・カラバフ地域の指導者アライク・ハルチュニャン氏が、「アゼルバイジャンの主要都市に永続的に置かれている軍事施設は今後、正当な攻撃対象になる」と述べたと伝えた。また、「罪のない平和的な民間人の死を防ぐために」砲撃の停止を命じたと、同氏が話したとした。

アゼルバイジャンを支持しているトルコは、ギャンジャの砲撃について、アルメニアが「民間人を標的にしている」と非難した。

一方、アルメニアの防衛省の報道官は、「アルメニアの領土からアゼルバイジャンに向けて、いかなる砲撃もなされていない」と述べた。

アルメニアはナゴルノ・カラバフ地域に軍事と経済の面で支援している。ただ、独立を認めたことはない。


死傷者の人数について独立した集計はなく、兵士や民間人の死者は220人規模を大きく上回っているとの見方が出ている。

アゼルバイジャン軍は9月27日以降、7つの村を奪回したとしている。一方、ナゴルノ・カラバフ自治当局は、前線の軍事拠点を「改善した」としている。

アルメニアは先週、フランス、ロシア、アメリカが仲介する停戦への動きに「関与する準備ができている」と表明した。

アゼルバイジャンは、ナゴルノ・カラバフ地域と周辺からのアルメニア軍の撤退を求めている。アゼルバイジャンに対しては、トルコが公に支持している。

アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領は4日、国民に向けたテレビ演説で、「ナゴルノ・カラバフは私たちの領土だ」と強調。アルメニアに対し、謝罪と軍の撤退計画を示すよう求めた。

また、「これですべてだ。私たちの立場は示した。私たちは犬のように彼らを追いかける」と述べた。

(英語記事 Nagorno-Karabakh conflict grows as big cities hit