2020年10月07日 11:36 公開

アメリカのドナルド・トランプ大統領は6日、新型コロナウイルス対策の追加の景気刺激策をめぐって野党・民主党幹部と続けていた協議について、11月の米大統領選後まで停止すると発表した。

トランプ大統領は、「自分が選挙で勝ったら直ちに、勤勉なアメリカ人に焦点を絞った大型の景気刺激策法案を通過させる」とツイートした。

追加の景気刺激策をめぐっては、民主党幹部のナンシー・ペロシ下院議長とスティーブン・ムニューシン財務長官との間で予算協議が進められていた。

与野党の議員が11月3日の大統領選前の実現を目指していた追加支援は、突然中断されることになりそうだ。

大統領選の民主党候補のジョー・バイデン前副大統領は、トランプ氏がアメリカ国民に「背を向けた」とした。

「彼(トランプ氏)はいまだ仕事を取り戻せていない労働者1人1人に背を向けた」と、バイデン氏は声明で述べた。「家賃の支払いや食べ物の確保、子どもの世話に苦労している家庭に背を向けた」。

アメリカの複数地域で新型ウイルスの感染者数が増加し、米国防総省やホワイトハウス、共和党の上院議員らの間で感染が拡大する中での発表となった。

トランプ氏の発表の直後、6日の米株式相場は急反落した。

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トランプ氏は、交渉が破綻した責任はペロシ氏にあると主張。ペロシ氏が「経営状態が悪く、犯罪率の高い、民主党地盤の州を救済するために」2兆4000億ドル(約253兆円)規模の景気刺激策を求めていたとツイートした。

また、自分は1兆6000億ドル(約169兆円)規模を提示したものの、ペロシ氏は「誠意を持って交渉に臨んでいない」とした。

「彼らの要求を拒否する。私はこの国の未来を見据えている」

トランプ氏は、がんで亡くなったリベラル派のルース・ベイダー・ギンズバーグ連邦最高裁判事の後任人事についても言及。自身が指名した保守派のエイミー・コーニー・バレット判事の承認に集中するよう、ミッチ・マコネル上院院内総務(共和党)に指示したと明かした。

その後、マコネル氏は記者団に対し、景気刺激策について民主党と合意に至るのは難しすぎると思うと述べ、トランプ氏の判断を支持するとした。「我々は実現可能なことに集中する必要がある」。

アメリカの経済状況は

アナリストたちは、追加支援がなければ景気回復が行き詰まる恐れがあると警告している。アメリカは3月と4月に失った雇用の約半数を取り戻したものの、1000万人以上が失業したままだ。

米中央銀行の連邦準備制度理事会(FRB)のジェローム・パウエル議長は6日、政策立案者たちがほぼ何もしない場合や、進展スピードがさらに遅くなったときは「悲劇的な」結果につながると警告した。

パウエル氏は「(対策を)拡充する余地は残されている」とし、「政策措置が最終的に必要以上に大規模になったとしても、無駄になることはないだろう」と述べた。

これまで議会で承認されてきた個人向け給付金がすでに期限切れとなっている中、トランプ氏は予期せぬ発表を行った。

また、11月の大統領選を受け、翌年1月まで議会が再開されないため、あらゆる経済救済法案の審議が大幅に遅れることにもなる。

ペロシ氏や一部の共和党議員が反発

ペロシ氏は、「国を犠牲にして自分を第一に考えている」としてトランプ氏を非難した。

「科学を軽蔑し、英雄たちを見下している。(中略)自分の名前が小切手に書かれないからといって、労働者への財政援助を拒んでいる」

また、トランプ氏は富裕層向けの1500億ドル規模の減税に「こだわっている」のに、貧しい子どもたちの支援は拒否していると主張した。

ペロシ氏は、「ホワイトハウスが無秩序状態にあるのは明白だ」と述べ、トランプ政権職員にパウエル議長の助言に耳を傾けるよう求めた。

ジョン・カトコ下院議員(共和党、ニューヨーク州)はトランプ氏の決定には反対だと明かした。「人々の生活が危機にひんしている中で、救済パッケージの交渉を止めてはいられない」とツイートした。

スーザン・コリンズ上院議員(共和党、メイン州)は、「選挙が終わるのを待ってから、次のCOVID-19(新型ウイルスによる感染症)救済パッケージの合意に達するのは大きな間違いだ」と述べた。

(英語記事 Trump ends Covid budget stimulus relief talks