上昌広(医療ガバナンス研究所理事長)

 新型コロナウイルスの感染が、欧州で再拡大している。各国は対応に余念がない。

 スペインでは首都マドリードの一部でロックダウン(都市封鎖)が実施された。フランスでは屋外でのイベントの入場者数が制限され、午後8時以降の屋外での酒類販売と飲酒が禁止。ドイツも、公共の場所や貸会場でのパーティーの参加人数を50人以下に制限するなどの対策をとった。英国は飲食店の深夜営業を禁止し、在宅勤務を推奨している。

 では、日本はどうだろう。国内の新規感染者数は8月7日の1595人をピークに減少傾向にあるが、9月20日~10月上旬に約200~600人で横ばいが続く。新型コロナは基本的には風邪ウイルスだ。夏場に感染が終息していないのだから、冬場に大流行へと発展してもおかしくはない。

 新型コロナの流行を抑制するには、ワクチンの開発を待つしかない。日本政府は2021年前半までに、国民全員に提供できる量のワクチンの確保を目指している。

 現在、世界では約40のワクチンが臨床開発されていて、そのうち9つが最終段階である第3相試験に入っている。4つをシノバックなどの中国企業が、残る5つを英アストラゼネカ、露ガマレヤ記念国立疫学・微生物学研究センター、米モデルナ、米ジョンソン・エンド・ジョンソン、および独ビオンテックと中国上海復星医薬と米ファイザーによる企業連合が開発中だ。

 日本企業も塩野義製薬、第一三共、アンジェスとタカラバイオ、KMバイオロジクス、IDファーマなどが、それぞれ国立感染症研究所(感染研)、東京大医科学研究所(東大医科研)、大阪大、医薬基盤・健康・栄養研究所という国内の研究機関と共同で開発に取り組んでいるが、2018年にノーベル生理学・医学賞を受賞した京都大の本庶佑特別教授の言葉通り「日本でのワクチン開発、治験など現実離れした話」というのが実態だろう。
2020年9月19日、ロンドン中心部で行われた新型コロナウイルス対策の規制再強化に抗議するデモで、警官ともみ合う男性(英PA通信=共同)
2020年9月19日、ロンドン中心部で行われた新型コロナウイルス対策の規制再強化に抗議するデモで、警官ともみ合う男性(英PA通信=共同)
 そもそも、ワクチン開発は至難の業だ。世界のワクチン市場は英グラクソ・スミスクライン、仏サノフィ、米メルク、ファイザーなど数社が独占している。日本企業には荷が重い。