2020年10月19日 15:02 公開

トム・プール、 BBCニュース

ドナルド・トランプ米大統領の就任以来、トランプ氏とトランプ政権に関する「暴露本」の出版が相次いだ。特に最近の書き手は、忠誠を尽くした元側近や、不満を抱いて離職した元職員などさまざまだが、その内容を総合すると、トランプ氏についてどういう人物像が浮かび上がるのだろう。

「こんな大統領とこんな政権がかつてあったか?」。暴露本の筆者の1人はこう尋ねられ、「絶対になかったと保証した」のだそうだ。

有名なビジネスマンでリアリティー番組のスターだったトランプ氏は、大方の予想に反して大統領になった。その人に関する本が次々と出版されるのは、当然のことだった。

相次ぐトランプ本の出版は、とどまるところを知らない。

9月上旬だけでも、調査報道の大ベテラン、ボブ・ウッドワード記者の本と、長年にわたりトランプ氏の顧問弁護士だったマイケル・コーエン受刑者による本が、次々と登場した。

ほかにも、ジャーナリストによるベストセラー、親族による暴露本、そして保守派による好意的な著作が、「トランプ本」コーナーの書棚にひしめきあっている。

私は今回、選挙中に、あるいはホワイトハウスで、トランプ氏と働いた経験のある人の著作に絞って、内容をまとめてみた。

それだけでも、著者のリストはかなりのものになる。

  • ジョン・ボルトン: トランプ氏の国家安全保障問題担当の大統領補佐官だった。解任されたのか辞任されたのかは、見方によって異なる。トランプ氏は「あれほどばかな人間は、政府にそうそういない」と言ったことがある。
  • ジェイムズ・コーミー: トランプ氏が電撃解任した連邦捜査局(FBI)の前長官。トランプ氏の道徳性を厳しく批判しており、対するトランプ氏もコーミー氏を「げす野郎」などと攻撃している。コーミー氏の回顧録の索引には「トランプ、ドナルド・J。~がハグしようとした」という、珍しい項目がある。
  • アンドリュー・マケイブ: コーミー氏の次にトランプ氏に解任されたFBI前副長官。トランプ氏には「すごいげす野郎」と呼ばれている。
  • アンソニー・スカラムーチ: 2017年に一瞬だけホワイトハウス報道部長を務めた。回顧録はトランプ氏に好意的だが、今では批判している。愛称「ムーチ」のことをトランプ氏は、「おねがいだから戻らせて下さいと頼みこんできた負け犬」と呼んでいる。
  • ショーン・スパイサー: トランプ政権の初代大統領報道官スカラムーチ氏の報道部長就任を受けて辞任。回顧録では特にトランプ氏に悪意を抱いている様子はない。
  • サラ・サンダース: 昨年7月まで大統領報道官を務めた。トランプ氏に今も忠実で、大統領からは「闘士」と呼ばれている。
  • クリス・クリスティー: 前ニュージャージー州知事(共和党)。2016年大統領選で州知事として真っ先にトランプ氏支持を表明した。政権移行チームを仕切ったが、政権発足前に解任された。これは、トランプ氏の娘婿、ジャレッド・クシュナー氏の指示によるものとされる。今年の大統領選では、民主党候補のジョー・バイデン氏相手の大統領討論会に備えて、トランプ氏の準備を手伝ったとされる。
  • オマローサ・マニゴールト・ニューマン: トランプ氏が司会していた当時のリアリティー番組「アプレンティス」の出場者。後に大統領選のトランプ陣営に参加し、ホワイトハウスでも働いた。トランプ氏はニューマン氏について、「誰からも毛嫌いされていた」と話している。
  • 匿名: 「トランプ政権の幹部」を自認する著者。2018年9月に米紙ニューヨーク・タイムズに匿名で「自分はトランプ政権内の抵抗勢力」と寄稿した著者の正体は不明だが、選挙前には身元を明かすと約束している。トランプ氏はすでに誰か分かっていると主張していた(編注:10月28日に、この「匿名」著者は、トランプ政権の国土安全保障省首席補佐官だったマイルズ・テイラー氏だと、本人が明らかにした)。
  • コーリー・レワンドウスキ: 前回大統領選の最初のトランプ選挙対策本部長。副本部長だったデイヴィッド・ボシー氏と共に、トランプ氏に好意的。
  • クリフ・シムス: トランプ陣営の広報担当を務めた保守派ジャーナリスト。その著作の内容は攻撃一辺倒でも礼賛一色でもない。トランプ氏には「ぼろぼろ」の「下の方の」スタッフと呼ばれた。トランプ氏を一時訴えたものの、その後はトランプ陣営に戻ったという。

当事者による回顧録が描く出来事は当然ながら、本人が見聞した内容に限られている。また多くの場合、当事者が関わった私的な会話をもとにしているため、本当にそのようなやりとりがあったのかは、書き手の言い分でしかない。

トランプ氏に好意的な書き方をしている人は、政権に戻りたくて謝罪しているのだと言われるし、批判的な書き手は政権にわだかまりを残しているからそうなのだと言われる。

けれども、好意的な内容と批判的な内容をすべて合わせて受け止めた場合、どのような人物像が浮かび上がるのだろう。

「忠誠心が必要だ。忠誠を期待する」

筆者が最終的にトランプ氏にどんな判定を下すにしろ、「忠誠心」は何度も繰り返される大テーマだ。

「ドナルド・トランプには、忠誠心という強烈な規範がある」と、スパイサー氏は書く。「彼が何より傷つくのは、自分が信用した相手が自分に不実な真似をした時だ」と、レワンドウスキ氏とボシー氏は書いた。ボルトン氏は、トランプ氏による人事でカギとなるのは「忠誠心だった」と書いている。

「Disloyal(不実)」というそのものずばりの題名の本を書いたコーエン元弁護士も、「A Higher Loyalty(さらに高い忠誠)」を書いたコーミー前FBI長官も、「忠誠心」をキーワードに回顧録のタイトルを決めた。

コーミー前長官の本は、回顧録であると同時に、リーダーシップとは何かという考察でもあり、さらにはトランプ氏に関する暴露本だ。FBI長官だったコーミー氏に、「私は忠誠心が必要だ。君の忠誠を期待する」とトランプ氏が要求したとされる場面に触れている。その要求を断ったというコーミー氏は、それから間もなく職を去ることになった

トランプ氏の世界では、誰が生き残り、誰が大統領に話しかけることができるかを決めるのは、忠誠心だ。時に、それは政策にも影響することがある。ボルトン氏は南米ヴェネズエラ政府とトランプ政権のやりとりをめぐり、野党指導者フアン・グアイド氏に関するトランプ氏の発言をこう紹介している。

「アメリカに、アメリカだけに、徹底的に忠誠を尽くすと、あの男にはそう言わせたい」と、トランプ氏は言ったのだという。

しかし、トランプ氏の世界に住むほとんどの人にとって、忠誠心は一方通行のものだ。シムス氏は自著の最終章で、「大統領と自分の個人的関係のせいで、ひとつのゆるぎない真実が見えなくなっていた。あの人と姓が一緒でない全ての人間にあてはまる真実。つまり我々は全員、使い捨てなのだ」と書いている。

「ユニコーン」大統領

相手に絶対的な忠誠を要求するトランプ氏を、マフィアのボスのようだと複数の筆者が書いている。そのうち少なくとも、FBIで犯罪捜査を長年していたコーミー氏とマケイブ氏には、そう書くだけの土台があると言える。

むしろ、「マフィアのボスのようだ」というのは優しい方で、「匿名」にとってトランプ氏は「まるで航空管制塔に紛れ込んだ12歳児」だった。トランプ氏はリーダーとしてまるで「山火事」だと、コーミー氏は書いている。オマローサ氏の筆はトランプ関連本の中でも特に辛らつで、大統領を「人種差別と偏見にまみれた女性蔑視の人」と呼んでいる。

一方、トランプ氏に好意的なクリスティー前州知事は、トランプ氏は「まるで私と同じだが、ジェット燃料を燃やしているみたいに勢いがものすごい」と書いている。特に印象的なのがスパイサー氏で、トランプ氏を「まるでユニコーン、ユニコーンに乗って虹を超えていく」人だと形容している。

大統領と過ごす日々 良い時もあれば……

トランプ氏はどういう人間なのか。批判する著者と称賛する著者の間に、一致点はあまりない。絶賛する書き手にとって、トランプ氏はカリスマ性あふれ、鋭い頭脳と政治手腕の持ち主だ。この人たちにとって、大統領の独特の話し方は(時にげんなりさせられるとしても)すばらしい長所なのだ。

「どうすれば国民と話ができるか(トランプ氏は)分かっていた」と、レワンドウスキ氏とボシー氏は書く。

スパイサー氏は自分の父親の発言を紹介し、「候補者の多くは、『私は経済を良くする政策のために闘う』とかなんとか言うが、トランプは『自分が、みなさんの仕事を取り戻してあげる』という言い方をする」と書いた。

シムス氏は、「トランプは自分の長所を何かと強調したがる。その中でも特に『元気』や『スタミナ』についての自慢は、紛れもなく事実だった」と書いている。複数の書き手がこれに同意見だ。だからこそトランプ氏はことさらに政敵を「無気力」や「体力のない」などと攻撃したがるのだと、解説する本もある。

撮影が終わるとトランプ氏はまったく別の表情を見せる――と言う人は誰もいない。「世間に見せていない姿」など、トランプ氏の場合はないのだと、シムス氏は書く。

ただし、本当の素顔が垣間見えたこともあるようだ。たとえば、大統領選の夜に自分の勝利が明らかになると、珍しく言葉を失った様子など(クリスティー氏による)。ほかにも、大切な人を失った家族へのお悔やみの電話や、自分の家族への愛情、米軍関係者への温かな態度などを、挙げる人たちもいる。サンダース氏は、クリスマスの時期にイラクを訪問したトランプ氏と、駐留米軍兵士とのやりとりをこう書く。

「米陸軍の一員が大統領に、自分はあなたのために軍に入り直したのだと話しかけた。すると大統領は、『そして今わたしがここにいるのは、君のためだ』と答えた」

……悪い時もある

「ユニコーン」の話をするのは、スパイサー氏だけだ。推して知るべし。オマローサ氏はトランプ氏について「共感力がまったく欠けている。極端な自己愛のためだ」と書く。マケイブ氏は、「あれほど終始、うそをつきまくる人に会ったことがない」と書いている。

筆者「匿名」はトランプ氏のことを、無知で知的に怠慢で、あまりに注意力が散漫で長続きしないため政策についてのレクチャーなどほとんど不可能だと書いている。「匿名」による本の中で、大統領顧問の1人は、大統領が側近に要求する内容は3種類に分けられると話す。「まったくばかそのもの」か、「実施不可能」、あるいは「まったく違法そのもの」の3つだ。しかし、この本の筆者の正体が分かるまで、内容の信憑性(しんぴょうせい)には疑問がつきまとう。

一方で、ボルトン氏の本は決して軽視できない。実名で回顧録を発表したトランプ政権の関係者としては、今のところ最高位にいた政権幹部だからだ。国家安全保障問題担当の大統領補佐官だったボルトン氏は、政策決定の現場にいた。トランプ政権でも特に重要な出来事のいくつかに、直接立ち会っていた。

その著書の中でボルトン氏は、トランプ氏が中国の習近平国家主席に再選の支援を働きかけたと書いている。選挙で重要な激戦州の農産物を輸入するよう要請したのは、そのためだという。ボルトン氏はさらに、トランプ氏が「自分個人の利益と国の利益の違いが分かっていない」と書いている。

トランプ氏が権威主義的な指導者と仲良くしようとする例は、いくつかある。ボルトン氏はこれについて、トランプ氏は「自分が気に入った独裁者を、個人的にねぎらう」癖があり、そういう相手にはいいように扱われていたと書いている。北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長がトランプ氏に宛てた手紙のことを、「トランプの自尊心をくすぐる神経をどうすれば刺激できるか、完全に理解しているパブロフ学者が書いたかのような」内容だったと、ボルトン氏は形容した。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との米ロ首脳会談については、両大統領を2人きりには「したくなかった」のだとも書いている。

シムス氏いわく、「トランプにとっては何もかも、個人的な問題だった。何もかも。国際情勢では、国同士が共有する国益や地政学より、自分と外国指導者との個人的関係が何より大事だと考えていた」。シムス氏によるとトランプ氏は、「まれな才能と驚異的な欠点」の持ち主なのだそうだ。

トランプ氏、ボタンを押す

著者たちはトランプ氏についてだけ書いているのではなく、自分が母親になった経験や、仕事上の功績、建国の父たちの言葉など、ほかにも色々なことを書いている。しかし、申し訳ないことだが、どうしても各自がトランプ氏について語るこれぞというエピソードを紹介したくなってしまう。

オマロサ氏が語るエピソードで特に目を引くのは、就任式に関するものだ。トランプ氏は就任式で宣誓する際、手を聖書ではなく「トランプ自伝」に載せてもいいのか質問したのだという。「冗談でそう言ったのだと、私に念押ししていた」。

サンダース氏は、トランプ氏が金正恩氏に口臭ケアのミント「ティックタック」を渡そうとした時のことを紹介している。

「昼食が始まろうとしていた。大統領は金に口臭ケアのミントを差し出した。『ティックタック?』。金は当惑した様子で、これは毒なのだろうかと心配していたのだろう。反応しあぐねていた。すると大統領はドラマチックに息を吐き出した。ただのミントだと、相手を安心させたのだ」

しかし、最高の中の最高なエピソードは、シムス氏が披露している。ホワイトハウスのオーヴァル・オフィス(大統領執務室)にある大統領の机の上には、小さい木箱があり、その中には赤いボタンがあるのだという。

「その箱にちらりと目を走らせる人がいれば(中略)トランプ氏は持ち上げて、自分から遠ざけて、そしてこう言う。『気にしないで。あのボタンは押さないでもらいたいと、みんな思ってるんだ』と」

「これを聞いた来客は誰もが不安そうにぎこちなく笑い、そして会話は続く。数分もたつとトランプはおもむろに、何も言わずに箱を引き寄せる。そしてさらにしばらくすると、会話の途中でいきなり、ボタンを押すのだ。客は誰もがどう反応していいか分からず、あっけにとられた様子でお互いを見やる。それから間もなく、給仕が入ってくる。銀の盆に、ダイエットコーラの入ったコップをのせて。トランプはそこで爆笑するというわけだ」

ファッションとカルチャー

トランプ氏の写真を見ると、ネクタイをやたらと長く垂らしていることが多い。ネクタイの先がウエストより下まで届いているのが定番だ。クリスティー氏によるとこれは、こうした方がほっそり見えると本人が思っているからだという。

そしてあの有名な髪形については、シムス氏は常にポケットにヘアスプレーを入れて随行していたと書いている。お手入れが必要となったら直ちに取り出せるように。

オマローサ氏によるとホワイトハウスには、大統領専用の日焼け用ベッドがある。この日焼けベッドの「扱い」が良くないからと、トランプ氏に解雇されたホワイトハウスの案内係もいるという。

音楽の好みについて言えば、トランプ氏はガンズ・アンド・ローゼズの「November Rains」のビデオを「史上最高のミュージック・ビデオ」と評価していると、サンダース氏は書いている。また、エルトン・ジョンの「ロケットマン」のCDを、なんとしても北朝鮮の金正恩委員長に送りたがっていたと、ボルトン氏は書く。

政策要旨の書類や新聞を除いて、トランプ氏は特に熱心な読者家とは描かれていない。それでも、スカラムーチ氏によると「西部戦線異状なし」がトランプ氏の愛読書だという。レワンドウスキ氏とボシー氏は、心理学者カール・ユングの自伝も、大統領の愛読書なのだと書いている。

なぜ仕えるのか

かつてはトランプ氏のために働いたものの、後に敵対することになった人は、そもそもなぜ最初に仕えたのだろう。

オマローサ氏にとっては、忠誠心の問題だったという。トランプ氏に対する批判はほかにも色々あるものの、多様性の少ない政権で働く黒人女性として、自分は政治的な言い訳になれると考えていた。

ほかの人は、大統領個人への忠誠心というよりは共和党や、政策課題への忠誠心が理由だったと説明する。党派性の力は決して過小評価してはならない。サンダース氏はトランプ陣営に参加することについて、こう書いた。

「トランプか、それともヒラリーかだった。国を救う手伝いをするか、国がどうなっても構わないと言うか。そのどちらかだった」

ボルトン氏は、「どういうリスクが待っているか」承知していたものの、自分ならなんとかできると思っていたと書く。トランプ氏との組み合わせは、奇妙なカップルのようなものだった。トランプ氏は「果てしない戦争」を終わらせると公約しながら、採用したのは「気に入らない戦争など見たことがない」と発言したことがあると言われる人物だった。ボルトン氏が政権にいた間、アメリカはイランやヴェネズエラなどに強硬策をとった。もっと強硬にすべきだったと、ボルトン氏は後悔している。

間違うこともある(私が、ではなく)

回顧録というジャンルにつきものの大いなる伝統にならい、筆者たちはミスや失敗があったことは認めつつ、自分の責任は回避する。

トランプ選対陣営とトランプ政権は、非常にお互いに容赦がないという印象だ。ほとんどの本には、特に陣営や政権スタッフによる本には、他のスタッフを長々と攻撃するくだりが含まれる。間違いの責任はトランプ氏にあると言うより、適材適所の反対だったせいだという説明も多い。

大統領補佐官に就任してホワイトハウスに到着したボルトン氏は、当時のジョン・ケリー首席補佐官に、「そのうち分かるはずだが、ここは良くない職場だ」と言われたという。

一方で、スパイサー氏とサンダース氏はマスコミを攻撃する。「主要メディアは一度たりとも、(トランプ氏の)成果を適切に評価しなかった。適切とはまったく程遠い評価しかしていない」と、スパイサー氏は書いた。

トランプ政権関係者は、肝心の時に一歩引いてしまっているという印象も受ける。ボルトン氏は、自分は何度も辞任を考えたものの、最後の一押しになったのはタリバンとの交渉決裂を理由にトランプ氏に叱責されたことだったと書いている。

FBIのコーミー氏とマケイブ氏は共に、トランプ氏にその場で面と向かって反論しなかった時のことを後悔している。

マケイブ氏は、自分が誰に投票したのか大統領に尋ねられた「異様な」面会について振り返り、こう書いている。「もっと率直に反論すべきだったのだろうか?(中略)たとえ相手がドナルド・トランプでも、トランプ大統領であることに変わりはない。なので、恭しく敬意をもって対応すべきだという思いが、自分の最も深い奥底から自動的に湧き上がった」。

今年の大統領選への教訓

トランプ関連本を読んで、11月3日に投開票される今年の大統領選の結果を予測しようとする人はそうはいないかもしれない。本の多くは筆者が解任されたり辞任したりする場面で始まるので、筆者たちが今のホワイトハウスの内情に詳しいとは思いにくい。ただし、いくつかのヒントは得られる。

トランプ界の中心にあるのは、支持者集会だ。トランプ氏にとっては何よりのエネルギー源で、自分の発信内容を研ぎ澄ますための聞き取り調査の場でもある。トランプ氏は2016年の驚異の勝利を今年も繰り返したいし、またあの思いを味わいたいと願っているはずだ。

「少なくとも意識下で何よりトランプをいらだたせているのは、大統領になった時のあれだけの高揚に見合うだけの気分が、大統領になって以降は経験できていないことだと思う」と、シムズ氏は書く。

レワンドウスキ、ボシー両氏の本の題名は「トランプはトランプのままで」だ。つまり、彼は決して変わらないし、前回の成功を思えば変わるべきですらないというのが、2人の描くトランプ氏の姿だ。

一方で、対立候補のジョー・バイデン民主党大統領候補は、各種の全国的世論調査で安定したリードを維持している。そうした状況でもしかして最も重要な教訓を書いているのは、2016年の共和党予備選でトランプ氏に敗れたクリスティー氏かもしれない。

「彼と争った人間として、これだけは言える。あの人を過小評価して損するのは自分だ」

(英語記事 I read all those Trump tell-alls. Here's what I learned