田中秀臣(上武大学ビジネス情報学部教授)

 菅義偉(すが・よしひで)政権が発足して1カ月以上が経過した。マスコミの新しい世論調査が明らかになり、支持率は当初より下がってはいるものの、いわば「ご祝儀相場」が終わった段階としてはかなり高い。


菅内閣の支持率は前回9月の調査と比べ5・9ポイント減の60・5%となった。不支持は5・7ポイント増の21・9%。


 菅政権にとっては、新型コロナウイルス危機とそれ以前からの景気減速、消費増税の悪影響という三重苦経済の再生に取り組む必要がさらに増すだろう。世論の大半も経済・生活問題への取り組みを重視している。

 経済政策を理論で考えるとアベノミクスはよくできていて、景気問題には大胆な金融緩和と機動的な財政政策で対応し、長期的な日本経済の活力をアップするために成長戦略を政策的に割り当てていた。

 アベノミクスの継承を菅政権は唱えているので、その意味では経済政策論としては合格点の枠組みを引き継ぎ、実際の政策を運用していくことになる。

 もっとも、菅首相は既得権や因習の打破、規制緩和といった成長戦略への関心が高く、また、これまでも政策手腕を磨いてきていた。そのためマスコミや世論の一部では、菅政権が成長戦略「だけ」に傾斜を深めるのではないか、という懸念や批判が出ている。だが、それは実像と大きく異なる。
新内閣発足から1カ月の受け止めを語る菅義偉首相=2020年10月16日、首相官邸(春名中撮影)
新内閣発足から1カ月の受け止めを語る菅義偉首相=2020年10月16日、首相官邸(春名中撮影)
 筆者は10月14日、国会議員の有志による勉強会「経世済民政策研究会」の方々と一緒に、菅首相と面談することができた。その場で感じたことは、雇用や金融政策ついての意識が極めて高いということだ。専門的にいえば、マクロ経済(景気問題)に関する問題意識が深く鋭い。