2020年10月20日 11:21 公開

アメリカ全土で新型コロナウイルスの新規感染者数が急速に増加し、入院患者数も増えていると、複数の専門家が指摘している。

アメリカの新規感染者数は16日に7万人近くに上り、7月以来で最多となった。

48の州ではこの1週間、感染者数が増加傾向にある。減少がみられるのはミズーリとヴァーモントの2州のみ。

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新型ウイルスのパンデミックをめぐる対応は依然、11月3日の米大統領選の重要課題のままだ。

今月初旬にウイルス検査で陽性と診断されて入院し、その後退院したドナルド・トランプ米大統領は、国内で感染者数が増加しているにも関わらず、対面式の大規模な選挙集会を行うため各地への移動を続けている。

トランプ氏はネヴァダ州で18日に開かれた屋外イベントで、野党・民主党の大統領候補ジョー・バイデン氏が「みなさんの未来を新型ウイルスに明け渡すだろう」と述べた。

「あの男はロックダウンしたがっている。科学者の言うことを聞こうとするからだ」とトランプ氏は述べ、「自分が科学者の話を完全に聞いていたら、今頃この国は大不況に陥っていただろう」と主張した。

トランプ氏の支持者の多くはマスクを着用しておらず、集会で社会的距離を保ってもいない。地元の保健当局は大規模集会を開かないよう警告している。

バイデン氏の広報担当者は、トランプ氏の主張は「現実とは正反対」な内容であり、不況の責任はトランプ氏にあるとした。

米保健当局トップを「大惨事」と糾弾

トランプ氏は19日、米政府の新型コロナウイルス対策を主導する、米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ博士を「大惨事」だと糾弾。自分がファウチ氏の言うことを聞いていたら、もっと多くの人が死んでいたと主張したという。

トランプ氏の発言を聞いた米メディアによると、同氏は選挙の電話会合で「ファウチは大惨事だ」、「彼は500年くらいここにいる」、「国民はファウチやばか全員の話にうんざりしている」と述べた。

ファウチ氏は先に、米CBSニュースに対して、トランプ氏が感染防止策を講じることに乗り気ではなかったことを理由に挙げ、トランプ氏が感染しても驚かなかったと発言していた。

アメリカの最新状況は

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、アメリカではこれまでに820万8831人が感染し、22万88人が死亡している。世界全体の累計感染者数は4032万7407人に上っている(日本時間20日午前時点)。

アメリカの1日の新規感染者数は、9月初旬には3万4000人程度まで減少したものの、現在では1日平均5万5000人程度となっている。

16日には、新規感染者数が7月以来で最多となる約7万人となった。この日、コロラド、アイダホ、インディアナ、ミネソタ、ニューメキシコ、ノースカロライナ、ノースダコタ、ウェストバージニア、ウィスコンシン、ワイオミングの10州で、新規感染者数が過去最多となった。

アメリカ全体の新規感染者数は翌17日に5万7000人超に減少し、18日にも4万8000人超に減少した。

感染者数の増加と共に、39の州で過去2週間、入院者数も増加している。米大統領選の結果を左右する激戦州であるウィスコンシン州は、新型ウイルスで最も打撃を受けた州の1つ。

現在、同州の病床の10%近くが新型ウイルスの感染症COVID-19患者で埋まっている状況で、ウィスコンシン・ステート・フェア・パークに屋外病院を設置している。

複数の専門家は、新規感染者の多くはCOVID-19から回復する可能性が高い若年層のため、パンデミック初期ほどのスピードで死者数が増加することはないと予測している。

保健当局は、人々が屋内に密集しがちな寒い季節に感染者数が増加する恐れがあると警告している。

ファウチ博士はCBSニュースの報道番組「60ミニッツ」のインタビューで、「そもそも、この国は(感染予防の)制限措置に疲弊している」と切り出した。

「だから我々は、経済再開の妨げにはならない、安全な経済再開の入り口となるような公衆衛生対策を駆使したい」

ファウチ氏はまた、「『閉鎖』を取り除き、『公衆衛生対策を駆使して、我々が目指している状態に安全にたどりつけるようにするつもりだ』と伝えたい」とした。

(英語記事 New Covid-19 cases rising rapidly across US