2020年10月21日 13:14 公開

ジョナサン・エイモス、BBC科学担当編集委員

アメリカ航空宇宙局(NASA)は20日、小惑星探査機「オシリス・レックス」が、小惑星「ベンヌ」での岩石採取のための着陸に成功したと発表した。

ベンヌは地球から3億3000キロメートル離れており、直径500メートルほど。オシリス・レックスからのデータでは、ベンヌに着陸できたことが確認できた。

しかしNASAは、標本が採取できたかどうかを確認するために、さらにデータを待っているという。

今回の計画では最低でも60グラム、できれば1キロ以上の岩石採取を目標としている。

ベンヌは非常に原始的な種類の小惑星に分類され、約45億年以上前に太陽や惑星を形成した化学物質の証拠が残っている可能性がある。

今回の計画で主任調査員を務めているアリゾナ大学のダンテ・ローレッタ氏は、「チームは熱狂している。感極まって、みんなが成功を誇りに思っている」と話した。

NASAのトーマス・ツーブヒェン科学次官も、「このミッションの重要な局面だった。我々はこの素晴らしい標本について数十年にわたって考え続けてきた。これから数日かけて、どれくらい採取できたかを調べていく」と語った。

適切な量の岩石が採取されていれば、オシリス・レックスは地球に2023年に帰還する予定となっている。一方、標本が足りない場合はもう一度タッチダウンを行う必要があるという。

オシリス・レックスは、ベンヌの北側に設定された採取地点「ナイチンゲール」へのタッチダウンを行った。

上空から4時間半をかけて8メートル四方の採取地点へと降下する最中には、「マウント・ドゥーム」と名付けられた2階建ての建物と同じ高さのがれきの間をくぐり抜けた。

オシリス・レックスには、「逆流する掃除機」のような装置が着けられており、これが地表面の岩石の採取を行う。

正式には「タッチ・アン・ドゴー標本採取メカニズム(TAG-SAM)」と呼ばれるこの装置には、長い棒の先に輪が着いている。この輪が地表面に接触すると、先端から窒素ガスが噴射され、岩石のかけらを吹き上げる仕組みになっている。

オシリス・レックスに搭載されたセンサーによると、標本採取に必要な動作は全て完遂され、成功している。探査機は数秒間の着陸の後、予定通りベンヌから離れている。

しかし、地球のエンジニアリングチームが何が採取されたのかを正確に把握するには時間がかかる。

まず今後数日間で、採取装置の輪の写真を分析する。

また、TAG-SAMの棒と輪を伸ばした状態でオシリス・レックスを回転させるという。標本採取前と後では、探査機内の質量が変わっているため、回転力にも変化が生じる。

これを比べることで、標本の正確な量を10分の1グラム単位で量ることができる。


オシリス・レックスはタッチダウン中にも画像を撮影しているが、現在はアンテナが地球の方角を向いていないため、すぐに画像を送信できない。探査機との接続が回復すれば、こうしたデータも取得できる。

ローレッタ教授は、「こうした画像から、きょうのミッションがどのように進んだか、膨大な情報が手に入るだろう」と述べた。

「見込みでの評価になるが、標本を採取できたかどうか、その可能性もはっきりするだろう」

NASAは21日中にも写真の一部を公開するとしている。

ベンヌで採取された標本を分析したいという科学者は数多くいる。英ロンドンの自然史博物館に務めるサラ・ラッセル氏もその一人だ。

ラッセル氏はBBCニュースの取材に対し、「ベンヌのような小惑星は太陽系の非常に、非常に初期に形成された」と説明する。

「基本的には惑星の建材のようなもので、太陽や惑星がどのように発展したのかを教えてくれるタイムカプセルだ。ベンヌの標本はその過程を見極めるのに非常に役立つはずだ」

(英語記事 Elation as Nasa probe tags asteroid in sample bid