2020年10月21日 13:42 公開

奈良のシカは天然記念物に指定されるなど、日本で長年愛されている動物だ。そのシカが、レジ袋などのプラスチックごみを飲み込んで命を落とす悲しい事故を減らそうと、地元の人々が、食べても安全な紙袋を開発した。

奈良公園(奈良市)では1200頭以上のシカが自由に移動しながら生息し、法律で保護されている。

しかし昨年、4キログラム以上のごみが胃にたまったシカが見つかるなど、人間の行動に起因する危険にさらされていることが問題となっている。

放っておけないと考えた地元住民らは、意見を出し合い、ある解決策に行き着いた。シカが食べても消化できる、米ぬかを原料とした紙袋だ。


奈良では観光客が、特製の無糖の「鹿せんべい」をシカに与えることができる。鹿せんべいはプラスチック製の袋を使っていないが、多くの観光客は他の菓子もシカにやっており、袋を捨てているとみられている。

シカはにおいにつられ、袋を食べ物だと思って食べてしまう。

食べても安全

奈良市で紙器製造会社を経営する中村孝士さんは数年前、シカがごみを誤飲して死んでいると知り、対策の必要性を感じた。

地元の化粧品企画会社と印刷デザイン会社の経営者と話し合い、安全な紙袋を作る取り組みを始めたと、BBCに経緯を語った。


この紙袋は、牛乳パックの再生パルプと、鹿せんべいに使われている米ぬかで作られている。

中村さんによると、これまでに奈良市観光協会や地元の信用金庫、薬品メーカーなど6つほどの団体が計約3500枚を購入したという。

朝日新聞によると、紙袋は一般財団法人「日本食品分析センター」の検査で、食べても安全と認められたという。

紙袋は1枚約100円。一般的なプラスチック製の袋は1枚数円程度だという。

(追加取材・田村栄治)

(英語記事 Deer-friendly carrier bags developed in Japan