
2020年10月23日 12:00 公開
フランスのジャン・カステックス首相は22日、夜間外出禁止措置の対象地域を約40カ所増やすと発表した。新型コロナウイルスの感染拡大のペースを遅らせるためとしている。
カステックス氏は記者会見で、「第2波が到来している」と述べた。当局はその後、この日確認された新規感染者が4万1622人となり、過去最多を更新したと発表した。
フランスではすでに、パリやマルセイユ、リヨン、リール、トゥールーズなど9都市で、夜9時から翌朝6時までの夜間外出禁止の措置が取られている。
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17日夜からは、さらに38の行政単位の地域と、南太平洋ポリネシアのフランス領に対象地域を拡大。外出禁止措置は6週間続けられる。約4600万人が影響を受けるとみられている。
フランスのほか、イタリア、スペイン、イギリスでも感染が急増するなど、ヨーロッパは新型ウイルスの流行に苦しんでいる。
「時間はあまりない」
首相は会見で、「今後数週間は大変で、死者数は増え続けるだろう」と述べた。フランスでは直近の24時間で162人の死亡が確認された。
また、「大流行を止められなければ、悲惨な状況に直面し、もっと厳格な措置を検討しなくてはならない」、「それを回避する時間はまだあるが、あまり多くはない」と話した。
同国の夜間外出禁止措置に対しては、2カ月にわたった今春のロックダウンで打撃を受けたレストラン経営者などから不満が噴出している。
しかしエマニュエル・マクロン大統領は、医療体制の行き詰まりを避けるためには必要な措置だとしている。
フランスの新規感染者は過去6日間で2万人を超えている。これまで確認された感染者は100万人近くに上る。
欧州のその他の国では
アイルランドは、同国の新型ウイルス対策としては最も厳格な「レベル5」のルールを新たに適用した。国民約500万人は6週間の自宅待機を命じられた。
チェコでは感染者が急増しており、2回目のロックダウンが実施されている。アンドレイ・バビシュ首相は、病院で患者があふれる状況を回避するため厳しい規制が必要だと述べた。
スロヴァキアは11月27日まで学校を閉鎖。影響の大きい4地域で1週間のロックダウンを、残りの国内全域で部分的なロックダウンを実施する。イゴール・マトヴィッチ首相は22日、全国民を対象に2回の検査を開始すると述べた。
ギリシャのキリアコス・ミツォタキス首相は、アテネなどの地域に夜間外出禁止令を出した。24日から実施され、深夜0時半~早朝5時までの外出が禁じられる。
ドイツは1日の感染者が過去最多の1万1287人を記録したと発表。イエンス・シュパーン保健相の感染が確認された。来訪者に隔離を義務付けるハイリスク国にイギリスを追加した。
イギリス当局は、ストーク・オン・トレント、コヴェントリー、スラウの都心部の警戒レベルを24日から第2段階に引き上げると発表した。マット・ハンコック保健相は、これらすべての地域で感染率が10万人あたり100人を超えていると述べた。
イタリアではローマ周辺のラツィオ州に夜間外出禁止令が出され、対象地域が3州に増えた。北部ロンバルディア州で22日午後11時に夜間外出禁止令が実施されるのを皮切りに、23日にはカンパニア州とラツィオ州でも実施される。政府顧問(保健担当)のウォルター・リッチャルディ教授は、「ミラノ、ナポリ、それにおそらくローマはすでに制御不能だ」と警告した。
スペインは欧州連合(EU)加盟国で初めて、確認された感染者が100万人に達した。北部ナヴァラ州では移動規制が実施された。ワイン産地として有名なリオハ地方も、同様の措置を取るとしている。
ベルギーで先週、新型ウイルス感染が判明したソフィー・ウィルメス外相(45)が集中治療室に入った。広報担当は容体について「安定している」と述べた。同国で感染者が増加していることについて、医療保健従事者は懸念を示している。リエージュ市の検査センター長は、「状況は大惨事に近い」と警告した。
オランダの病院団体LNAZは、医療機関のひっ迫を受け、2日以内に患者をドイツへ移送し始める可能性があると述べた。1日の新規感染者は9000人を超え、過去最多を更新した。