2020年10月23日 12:25 公開

米司法省は22日、マレーシアの政府系投資会社1マレーシア・デベロップメント(1MDB)の不正疑惑をめぐり、米ゴールドマン・サックスが30億ドル(約3100億円)の制裁金を支払うことで合意したと発表した。

また、ゴールドマン・サックスのマレーシア子会社が、1MDBの資金調達事業を引き受けるために賄賂を贈ったとして有罪となった。この子会社には10億ドル以上の制裁金が科せられた。

これにより、1MDBの不正絡みでゴールドマン・サックスが各国の規制当局に支払う制裁金は総額約50億ドルになった。同社の昨年の純利益の3分の2に上る。

米当局は、ゴールドマン・サックスが「大規模な汚職スキーム」で「中心的な」役割を果たしていたことから、高額の制裁金が決まったと説明した。

ゴールドマン・サックスは「組織的な間違い」を犯したと認めている。

同行の取締役会はまた、不正当時に会長を務めていたロイド・ブランクフェイン氏を含む、経営陣への役員報酬1億7400万ドルを回収あるいは保留するとしている。

1MDBの不正疑惑とは?

1MDBの不正資金流用疑惑では、マレーシアの開発プロジェクト向けに集められた資金を、当時のナジブ・ラザク首相などが横領していた。

アジアや欧州各国、そしてアメリカの当局は数年をかけて、流用された資金によって購入された不動産や宝石、美術品などを追跡していた。

ゴールドマン・サックスは、2012年と2013年に1MDBの計65億ドルの資金調達を手掛け、手数料として6億ドルの収入を上げた。この際、マレーシア子会社の従業員らが不正を知りながらも業務を引き受けていたという。

同行は長年、不正に関わったのはこの従業員らであり、会社としては調達を助けた資金が流用されることは知らなかったと主張してきた。

しかし22日には、マレーシア子会社が「不正の事実を知りながら、むしろ積極的に」賄賂を贈ってこの業務を引き受け、取引に絡む危険信号を無視していたと認めた。

今回の合意内容を発表した米司法省は、ゴールドマン・サックスが「大きな被害」をもたらしたこの不正スキームを可能にしたと指摘した。

本社の起訴は見送りへ

ゴールドマン・サックスはマレーシア政府に6億ドルを返還するほか、アメリカとイギリス、香港、シンガポールの規制当局に合わせて23億ドルの制裁金を支払う。

この支払いにより、ゴールドマン・サックス本社に対する贈賄の疑いについては起訴が見送られることになった。本社が有罪判決を免れたことで、業務への影響は軽くなるとみられている。

先には、同行で不正に関わったとされるティム・ライスナー被告がアメリカの裁判所で、資金洗浄と海外腐敗行為防止法違反について起訴事実を認めた。このほか、もう一人の元幹部が海外での贈賄容疑で判決を待っている。

またナジブ元首相は今年7月、マレーシアで背任やマネーロンダリング(資金洗浄)、職権乱用など7件の罪で有罪となり、12年の禁錮刑を言い渡された。

ナジブ元首相は罪状の一部を否認し、控訴するとしている。

これまでの合意内容

ゴールドマン・サックスは7月、一連の疑惑についてマレーシア政府と39億ドルで和解することで合意している。

同社からは25億ドルの支払いに加え、流用された資金のうち14億ドルがマレーシア政府に償還される約束になっている。これにより、ゴールドマン・サックスはマレーシアでの訴追を免れている。

このほか、香港に3億5000万ドル、イギリスに1億2600万ドル、シンガポールに1億2200万ドルの罰金を支払うことになっている。

(英語記事 Goldman Sachs to pay $3bn over Malaysia scandal