2020年10月24日 11:04 公開

22日に行われた米大統領選の討論会で、ドナルド・トランプ米大統領がインドと中国、ロシアの空気が「不潔」だと発言したことに、インドで反発が起きている。

トランプ大統領のこの発言には、怒りを表明する人もいれば、事実なのだから反省すべきだとの意見もある。ナレンドラ・モディ首相にこの件について対応を求める声も上がっている。

首都デリーは確かに、世界で最も空気が汚れていると認める人もいる。

デリーではここ数週間で、大気汚染レベルが「深刻」に引き上げられ、呼吸に困難を訴える住民も出ているという。

大気中の微小粒子状物質PM2.5の濃度は1立法メートル当たり180~300ミリグラムと、世界保健機関(WHO)が定める安全基準の12倍に達している。


トランプ大統領は大統領候補討論会で、気候変動への国際的な取り組みを決めた「パリ協定」からの脱退に言及。その際、「中国を見てみろ。どれだけ不潔か、ロシアもインドも、不潔だ。空気が汚れている。私がパリ協定から脱退したのは、アメリカが何兆ドルも負担しなくてはならないのに、非常に不公平に扱われていたからだ」と述べた。

中国に関する発言は必ずしも正確ではないかもしれないしかし、インドでは多くの人が思うところがあったようだ。

インドでは11月から2月にかけての冬の季節、北部の都市で特に大気汚染が悪化する。これは農家による焼き畑や自動車の排気ガス、工業汚染、祭典の花火に加え、季節的に風が弱いことが重なることが原因だという。

汚染レベルは毎年上昇しているが、いまだ確固とした対策はほとんど取られていない。

トランプ氏のこの発言の直後、インドではツイッターなどで「不潔」や、「ハウディ(こんにちは)、モディ首相!」と言った言葉がトレンドに上がった。

「ハウディ、モディ首相!」は、2019年9月に同首相が訪米した際、テキサス州ヒューストンで行われた歓迎会の名称。「ハウディ(Howdy)」はテキサス州ならではの、挨拶の仕方だ。トランプ氏が外国指導者のために開いた歓迎会としては最も盛大なもののひとつで、5万人近くが参加した。

インドの野党・インド国民会議の幹部、カピル・シバル氏は、トランプ氏とモディ氏の「友情の証」、そして「ハウディ、モディ首相!」の成果が、今回の「不潔」発言なのかと問いただした。

また、トランプ氏が今年2月にインドを訪れた際、モディ首相が「良い友人」のために巨大なクリケット・スタジアムで開催した大規模な歓迎会に言及する人も多くみられた。

一方で、ツイッター上ではデリーの大気汚染指数を示した画像を投稿し、反省を呼びかける声も上がった。

作家のキラン・マンラル氏は、「毎年毎年、大気が有害なレベルにまで達している」と指摘した。

「中傷されたと憤るのではなく、空気や環境をきれいにするための挑戦と捉えるべきではないか? そうすれば誰もそんなことは言わなくなる」

最近の研究では、大気汚染がひどいほど新型コロナウイルスの感染者や死者が増えることが明らかになっており、医師や疫学者がインドの感染対策を妨げると警告している。

(英語記事 India reacts to Trump calling its air 'filthy'