2020年10月27日 10:45 公開

米上院は26日、終身任期の連邦最高裁判事に、保守派のエイミー・コーニー・バレット判事(48)を承認した。11月3日の大統領選を目前に、ドナルド・トランプ大統領は大きな勝利を手にしたことになる。

バレット判事はただちにホワイトハウスの式典で、宣誓就任した。就任演説で、判事としては政策に関する自分自身の好みを、司法判断に反映させないと強調した。

「私は、政府の政治や自分自身の好みとは関係なく、恐れも偏向もなく、自分の責務を果たします」と判事は述べた。

連邦最高裁判事(定数9人)の任期は終身のため、これによって当面は保守派6人、リベラル派3人の構成が続く見通しとなった。

トランプ政権発足以降、これで3人の保守派判事が指名・承認された。

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上院本会議の採決は賛成52、反対48と、ほぼ与野党の議席数に沿って分かれた。野党・民主党の議員からは賛成票はなかったが、与党・共和党で穏健派とされるスーザン・コリンズ議員(メイン州)が造反して反対票を入れた。コリンズ議員は3日に大統領選と同時に行われる連邦議会選で、再選に向けて接戦中。

連邦最高裁は今後、オバマ政権による医療改革(オバマケア)の撤廃を審議する見通し。また大統領選と連邦議会選の開票結果についても、最終的に連邦最高裁の判断に委ねられる可能性もある。

ホワイトハウスの庭で宣誓式

大統領選の激戦州ペンシルヴェニア州の遊説から戻ったばかりのトランプ氏が、ホワイトハウスでバレット判事の宣誓就任式を開いた。

保守派のクラレンス・トマス最高裁判事が、就任の宣誓のひとつをつかさどった。

トランプ氏は、「本日はアメリカと合衆国憲法と、中立な法治主義にとって、偉大な日だ」と述べ、バレット判事は「この国で最高峰の素晴らしい法曹家で、素晴らしい最高裁判事になる」と強調した。

宣誓を終えたバレット判事は、上院での承認手続きは「厳密なものだった」とした上で、「判事は議会と大統領から独立を守ると宣言するだけでなく、自分を動かしかねない個人的な信条からも自分を切り離す」と表明。「常に法治主義が物事を決めなくてならない」と述べた。

就任式はホワイトハウス南庭で開かれた。9月26日にホワイトハウスのローズガーデンで開かれた指名式典では、出席者の多くが後日、新型コロナウイルス陽性と判明しており、「スーパースプレッダー」イベントだったといわれている。

この日の宣誓式では、登壇した大統領、バレット判事夫妻、トマス判事はいずれもマスクをしていなかった。

エイミー・コーニー・バレットとは

  • 妊娠の人工中絶や同性結婚などに反対しているため、キリスト教福音派など社会的保守派に歓迎されている
  • 敬けんなカトリック教徒だが、自分の信仰は司法判断に影響しないと述べている
  • 合衆国憲法の「原典主義」を掲げ、憲法解釈は起草者の意図した通りであるべきだと主張
  • インディアナ州在住。ハイチ出身の養子2人を含め、7人の子供がいる

与野党の攻防

インディアナ州出身のバレット判事は、9月に亡くなった高名なリベラル派のルース・ベイダー・ギンズバーグ判事の後任となった。

ギンズバーグ判事の死去を受けて民主党は、終身任期の連邦最高裁判事は国民生活に大きな影響を与える判決にかかわるため、大統領選の結果が出るまで、後任人事を急ぐべきではないと主張していた。

与党・共和党は野党だった4年前、大統領選の年に最高裁人事を行うべきではないとして、当時のバラク・オバマ大統領が指名した判事の公聴会審議を拒否していた。

この日の上院採決を前に、民主党のチャック・シューマー上院院内総務は、自分たちは「闘うのをやめない」と約束した。他の民主党議員も相次ぎ、共和党の動きを非難したものの、上院では共和党が多数党のため、これ以上は承認手続きを阻止する手立てがなかった。

一方で、共和党のミッチ・マコネル上院院内総務は、自分たちの正当性を強調。「もし立場が逆だったら、(民主党も)承認していたはずだ。疑いようもない。何でも思い通りにはならないし、選挙の勝敗には影響が伴うものだ」と述べた。

民主党内からは、もし3日の選挙でホワイトハウスや上院を獲得した場合は、最高裁判事の定数を増員し、リベラル派の判事を複数就任させるべきだという案が出ている。これについて民主党のジョー・バイデン大統領候補は、態度を明示していないが、大統領に当選した場合は司法改革を検討する超党派委員会を設置すると述べている。

(英語記事 Amy Coney Barrett confirmed to US Supreme Court