片岡亮(ジャーナリスト)

 芸能事務所が岐路に立たされている。従来のビジネスモデルが成り立ちにくくなってきたからだ。

 これまでは「勝手に事務所を辞めたら仕事を干す」という見えない掟で、タレントの長期契約が慣例とされてきた。だが、公正取引委員会は2018年2月、芸能人などのフリーランスにも独占禁止法が適用されるとの見解をまとめ、芸能界の暗黙の了解にメスが入ると、事務所側がタレントを長期的に「独占」することへの賛否が渦巻いた。

 人気タレントはテレビ、映画、雑誌などにとって大きな集客の要素となっているだけに、各業界が芸能事務所に忖度(そんたく)する。

 そのため、タレントが報酬や仕事内容に不満を持ったとしても、事務所と対等な交渉がしにくいといった問題があった。また、契約書が1年ごとの更新であっても、タレント側の事情を顧みずに事務所側が自動更新を続けるということも珍しくなかった。

 誰もおおっぴらには口にしないが、かつて暴力団が芸能界に関わっていた時代の名残でもある。もちろん、現在では反社会的勢力とのつながりがあれば厳しく処分され、業界追放もあり得るほどにコンプライアンス意識が高まっている。
公正取引委員会と検察庁の看板=東京都千代田区(宮川浩和撮影)
公正取引委員会と検察庁の看板=東京都千代田区(宮川浩和撮影)
 「現状はタレントとの契約は長くても3年、もし自動更新なんてしたら無効にさせられてしまう」とは大手芸能プロ関係者の話。公取委が見解を出した影響は大きく、続々と有名タレントが独立を始めた。