2020年10月29日 11:27 公開

世界貿易機関(WTO)の新事務局長の選出が難航している。WTOの選出委員会は28日、加盟164カ国がナイジェリアのヌゴジ・オコンジョイウェアラ元財務相(66)を推薦したと発表。しかし、影響力の大きいアメリカがこれに反対を表明した。

オコンジョイウェアラ氏が選出されれば、WTOで初の女性事務局長となるのに加え、初のアフリカ出身の事務局長にもなる。

オコンジョイウェアラ氏は推薦について、「とても恐縮している」と話した。

一方アメリカはWTOの改革を求め、韓国の女性候補、兪明希(ユ・ミョンヒ)産業通商資源部通商交渉本部長を推薦している。

ドナルド・トランプ大統領の貿易政策を支える米通商代表部は声明で、「WTOには現実的で経験豊富な指導者が必要だ」と説明。兪氏は「優れた」貿易のエキスパートであり、「WTOの有能な指導者に必要なスキルを全て持っている」と述べた。

「WTOと国際貿易にとって非常に困難な時代だ。多国籍間の関税交渉は25年も行われておらず、紛争解決メカニズムは収拾がつかなくなり、透明性を担保している加盟国はほとんどいない。WTOは大きな改革が必要だ」

米通商代表部の声明にオコンジョイウェアラ氏への言及はなかった。

WTOのキース・ロックウェル報道官は28日午前、加盟164カ国のうち1カ国だけがオコンジョイウェアラ氏の推薦に反対していると話していた。

「必死の活動」

トランプ大統領はかねてWTOは「ひどい」状態で中国に肩入れしていると批判している。これまでにもWTOの要職任命がアメリカによって阻止されている。

WTOは米大統領選後の11月9日に、この問題について話し合う予定。アメリカの反対だけでオコンジョイウェアラ氏が選出されないということはないものの、アメリカはなお最終決定に大きな影響力を持っている。

ロックウェル報道官は記者会見で、オコンジョイウェアラ氏の選出を確実にするために「必死の活動」が行われるだろうと話した。オコンジョイウェアラ氏は欧州連合(EU)の支持を得ている。

WTOの事務局長職は、前任のロベルト・アゼヴェド氏が昨年8月に退任して以降、空席となっている。WTOは現在、4人の副事務局長が統括している。

オコンジョイウェアラ氏はナイジェリアで初めて財務相や外相に就任した女性。また、世界銀行の開発エコノミストとして25年のキャリアがある。

さらにツイッターの役員を務めているほか、ワクチンプログラム「GAVIアライアンス」の会長や、世界保健機関(WHO)の新型コロナウイルス対策チームの特別大使を兼任している。

新たなWTO事務局長は、米中の貿易摩擦など山積みの問題に直面することになる。

オコンジョイウェアラ氏は10月初め、自身の幅広い組織改革の経験がWTOを軌道に戻すのに必要だと話していた。

「私は改革のための候補であり、WTOは今まさに改革の実績とスキルを必要としている」

(英語記事 US tries to block first African head of WTO