2020年11月03日 11:52 公開

オーストリアの首都ウィーンで2日午後8時ごろ、市内中心部の6カ所が銃撃され、少なくとも4人が死亡し、17人が負傷した。現場はいずれも、ユダヤ教の礼拝堂(シナゴーグ)の近くだが、それが標的だったかは明らかになっていない。

オーストリアのセバスティアン・クルツ首相は、「おぞましいテロ攻撃」、「我々の生き方、我々の民主主義に対するヘイト(憎悪)が原因だ」と述べ、銃撃犯の1人が死亡したと明らかにした。

当局によると、亡くなった4人のうち2人は女性で、2人は男性。女性はレストランの従業員で、もう1人の女性は搬送先の病院で亡くなった。

一方カール・ネハンマー内相は、少なくとも1人の銃撃犯が逃走中だと述べた。負傷者の中には警官も含まれるという。

銃撃犯の人数は不明だが、警察は1人を射殺したと発表。また、地元メディアは内務省の話として、1人が逮捕されたと伝えている。

ネハンマー内相は記者会見で、警察に射殺された男は重装備で、過激派勢力「イスラム国(IS)」の同調者だったと話した。警察が自宅を家宅捜索し、動画などを押収した。警察によると、にせの自爆ベルトを身につけていたという。

内相はオーストリアのAPA通信に対して、射殺された男は20歳の北マケドニア出身で、オーストリアと二重国籍だったと話した。テロ関連の罪状で有罪になったことがあるという。内相はさらに、男がISに参加しようとシリア渡航を企てたこともあると明らかにした。

事件に関連して、15軒の住宅で家宅捜索が行われたほか、ウィーン西郊のザンクトペルテンで容疑者2人が逮捕されている。

事件は、オーストリアがパンデミック制御のため全国的なロックダウンに入る直前に起きた。市内各地で多くの人が事件当時、11月末まで休業するレストランやバーで、それまで最後となる外食を楽しんでいた。

銃撃犯らは自動小銃や拳銃、なたなどで武装していた。治安部隊が間もなく現場に到着したが、警官1人が負傷している。警察は8時9分には「鎮圧」が完了したと発表している。

ソーシャルメディアに投稿された現場映像には、銃声が鳴り響く中、道路を走る市民の姿が映っていた。

警察によると、一連の銃撃はウィーンにおけるユダヤ教信仰の中心地、ザイテンシュテッテンガッセ・シナゴーグの近くで始まった。ユダヤ教徒コミュニティーの指導者、オスカル・ドイチュさんによると、攻撃が始まった当時、シナゴーグは閉じていたという。

発砲が始まったときに近くのレストランにいたクリス・ジャオさんはBBCに、「爆竹みたいな音がした。20発か30発聞こえたので、銃声かもしれないと気づいた。救急車が何台も並んでいた。被害者が出ている。残念ながら、自分たちがいた隣の通りで、地面に倒れている人を見た」と話した。

事件後、大規模な対テロ捜査が始まっており、警察が市街地を封鎖している。

ネハンマー内相は記者会見で、市民に市中心部から離れるよう指示。また、可能ならば4日は子どもを外出させないよう呼びかけた。

また、隣国チェコの警察は銃撃犯が同国へ逃げ込んでくることを警戒し、オーストリアとの国境で検問を開始したと明らかにしている。

クルツ首相はツイッターに、「オーストリア共和国は困難な時期を迎えている」と投稿。「このおぞましいテロ攻撃の当事者に対して、警察は断固として動く。私たちがテロにおびえて屈することなど、決してない」と書いた。

欧州ではこれまでにもイスラム過激派による襲撃事件が起きているが、オーストリアで起きたのは初めて。

欧州各国の首脳は事件を強く非難しており、このところ刃物による殺人事件が相次いでいるフランスのエマニュエル・マクロン大統領は、「フランス国民はオーストリアの人たちの衝撃や悲しみを共有している。(中略)フランスに続き、私たちの友人が攻撃された。ここは私たちの欧州だ。我々の敵は、いったい誰を相手にしているのか知るべきだ」と非難した。

ボリス・ジョンソン英首相は、「オーストリア国民に思いを寄せている。テロに対抗するために共に立ち上がる」と述べた。

欧州理事会のシャルル・ミシェル議長も、人命や人間の価値観を侵害する卑怯な攻撃だと批判した。

アメリカのドナルド・トランプ大統領は3日の大統領選集会の前に、「欧州でまたテロが起こった」とコメント。

「罪のない人々への悪質な攻撃を止めなければならない。アメリカはオーストリアやフランス、欧州全体と共にテロと戦う」とツイートした。

民主党候補のジョー・バイデン前副大統領も「ひどいテロ攻撃だ」と非難し、「ヘイトと暴力に、全員で立ち向かわなければならない」と述べた。

(英語記事 Vienna shooting: Gunmen hunted after deadly 'terror' attack