2020年11月06日 10:59 公開

香港の警察当局は、中国政府が導入した国家安全維持法(国安法)への違反を住民らが通報するホットラインを開設した。

国安法は、中国からの分離独立や中央政府の転覆、外国勢力との結託などを禁止するもの。6月に施行されて以降、多くの抗議者を沈黙させている。

香港市民は同法違反に関して、メッセージアプリの微信(ウィーチャット)やメールなどからホットラインに画像や音声、動画などを送信できる。

人権団体は、反体制派の人々が標的にされかねないと懸念を表明している。

賛否の声

香港の警察当局はフェイスブックで、ホットラインによって市民らが「国家の治安」に関する問題を、自らの個人情報の詳細を明かさずに通報できるようになると説明した。

警察によると、ホットラインは通話には応じず、返信もしないという。通報者の個人情報を集めることはないとしている。

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警察のフェイスブックには、ホットラインを巡る賛否の声が書き込まれている。

ある人は、「本当にショックだ。あっという間に間違った通報をできてしまう」と表明。

別の人は、「反逆者に法の裁きを受けさせるため、警察と市民の協力を支援しよう! 香港警察が法を厳格に執行するのを支援しよう」と訴えた。

人権団体は非難

人権団体は、ホットライン開設を批判している。

ヒューマン・ライツ・ウオッチのシニア中国リサーチャー、マヤ・ワン氏は、「嫌いな人や政治的に対立している人を不利にするために、内報者がこのホットラインを利用する恐れがある」とAFP通信に述べた。

国安法の施行後、中国当局は香港での取り締まりを強化している。民主化を主張する多くの団体は、安全が確保できないとして解散している。

先月27日には、香港独立を訴える若者の団体「学生動源」の元代表、鍾翰林氏(19)ら3人が、香港のアメリカ総領事館近くで、国安法違反容疑で私服警官に逮捕された。鍾氏は総領事館に亡命を求めようとしていたとされる。

今週には、香港の民主派議員7人が、中国政府を支持する議員らと5月に議会で取っ組み合いとなった騒動に絡んで逮捕された。

イギリス政府と中国政府は香港返還前の1984年、「一国二制度」を維持することで合意。1997年の返還後50年は、香港で集会結社の自由や表現の自由、報道の自由など基本的人権が保障されるという約束も含まれていた。

しかし国安法の施行後、こうした権利が侵害されていると、西側諸国などからも批判が上がっている。

(英語記事 Hong Kongers invited to snitch on their neighbours