2020年11月06日 14:37 公開

フランスのエマニュエル・マクロン大統領は5日、イスラム主義者によるとみられるテロ攻撃が相次いだことを受け、国境警備を強化すると発表した。併せて、欧州連合(EU)域内の自由な移動を認める「シェンゲン協定」の改革が必要だと訴えた。

フランスではこの1カ月でジハーディスト(イスラム聖戦主義者)によるものとみられる襲撃事件が2件起こっている。10月29日に南仏ニースのキリスト教カトリック教会で3人が刃物で殺害された事件では、容疑者の男がチュニジア出身で、イタリアを経由し今月初めに入国したことが明らかになった。

また同16日にはパリ近郊で、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を教材にしたサミュエル・パティ教師が、イスラム教徒の男に首を切断される事件があった。

こうした事態を受け、フランスの治安警戒レベルは最高に引き上げられており、数千人の兵士が宗教施設や学校に配備されている。

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マクロン大統領は事件後、表現の自由を掲げるフランスの価値観を擁護しており、ムスリム(イスラム教徒)の多い国で反感を買っている。

一方で、フランス国内の右翼による世俗主義の保護拡大の声には、「現在の状況は憲法を変える十分な理由にはならない」と反対した。

英フィナンシャル・タイムズの編集長宛ての書簡でマクロン氏は、フランスが闘っているのは「イスラム主義者の分離主義であり、イスラムではない」と明言。同紙が先に、マクロン氏が「選挙のためにフランス国内のムスリムを不当に批判している」と誤って報じたことを非難した。この文章は後に削除されている。

書簡の中でマクロン氏は「フランスやその政府が、ムスリムに対する差別を助長していると主張することは許さない」と述べている。

フランスは欧州で最もムスリム人口が多く、人口の10%を占めている。信仰を理由に差別されていると訴えるムスリムもおり、この問題をめぐっては国内で緊張が続いている。

国境管理について

マクロン大統領はこの日、ル・ペルテュのスペイン国境を訪れた際、テロの「脅威が悪化しているため」、国境を警備する警察官を2400人から4800人に倍増させるつもりだと明らかにした。

また、12月のEU首脳会議で、域内の国境警備の強化について提案する考えだと発言。「域内の国境管理を強化すると共に、域外との国境には治安部隊を置く」案も含まれていると話した。

シェンゲン協定では、EU市民はパスポートなしで加盟国間を行き来できる。しかし現在は、新型コロナウイルスの流行を受け、国境管理が行われている。

(英語記事 France calls for reform to EU free movement scheme