
2020年11月07日 13:56 公開
ラグビーのニュージーランド代表「オールブラックス」が、新型コロナウイルスに押し込まれて財政面で苦境に陥り、投資ファンドなどと支援について協議を進めていることが5日、明らかになった。
オールブラックスを組織するニュージーランド・ラグビー協会(NZR)は、新型ウイルス対策で実施されたロックダウン(都市封鎖)の影響で、手元資金が半分ほどに大きく落ち込んだ。
そのため、未公開株式投資などのかたちで資金を増やす方法を探っているという。
有名な「オールブラックス」のチーム名が、最も多額の出資をした企業などに売り渡される可能性も浮上している。
オールブラックスはラグビーワールドカップで3度の優勝を果たしている。勝率は80%近くに上り、世界中で高い知名度を誇っている。
英コンサルティング会社ブランドファイナンスは、オールブラックスを世界のラグビー界で最も価値の高いブランドだと評定。1億4400万ポンド(約196億円)の価値があるとしている。
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70億円入るはずが…
NZRのマーク・ロビンソン最高経営責任者は5日、現地紙ニュージーランド・ヘラルドに、新型ウイルスの流行中、手元資金の47%に当たる8600万ニュージーランドドル(約60億円)を使ったと説明。
ニュージーランドが全国的なロックダウンを実施していた間、本来なら1億ニュージーランドドル(約70億円)の収入が得られるはずだったとした。
ロビンソン氏は、「NZRに投資してくれるパートナーを広く探している」と述べた。
オールブラックスが投資ファンドなどと協議をしているという憶測は、5月から出回っていた。
スポーツビジネス関連の情報を提供するsportbusiness.comのトム・キング氏は、「オールブラックスは商機を敏感に生かしてきた」と話す。用具メーカーとの契約や、来年終了する保険会社AIGとのシャツのスポンサー契約は、画期的と称賛された。
ラグビーは過小評価?
投資の受け入れを検討しているラグビー組織は、オールブラックスが初めてではない。
新型ウイルスの流行前から、多くのラグビーチームやラグビーの国代表は、財政面で苦しんできた。投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズは、英イングランドの競技会プレミアシップとヨーロッパの競技会プロ14について、株の一部を購入するなどしている。
同ファンドは、競技会シックス・ネイションズ(イングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズ、イタリア、フランスの各チームが争う)についても投資の話し合いを進めている。参加チームは2年近くにわたって、共同出資をめぐって協議を進めている。
ラグビーは収入の面では、サッカーに大きく劣る。
コンサルティング会社デロイトは、ヨーロッパのサッカー市場は昨年、284億ユーロ(約3兆4800億円)規模だったとしている。
sportbusiness.comのキング氏は、「投資ファンドは典型的に、過小評価されていると同時に大きく成長する可能性のある投資先を探す」と指摘。「CVCがラグビーに注目しているのは、成長の見込みと収益を上げる可能性があると、同社が信じていることを示している」と話した。
NZRはBBCのコメント取材に応じなかった。