山田順(ジャーナリスト)

 もつれにもつれた米大統領選だったが、民主党のジョー・バイデンが行った勝利宣言で決着がついたと言えるだろう。

 ドナルド・トランプは、不正投票が横行したと主張して負けを認めない姿勢だが、「勝手に言っていろ」といった冷めた空気が漂う。法廷闘争に持ち込もうとするトランプの方針には、味方である共和党内からの反発も強い。

 しかし、トランプが負けたかと言えば、単純にそうとは言いきれない。なにしろポピュラーボート(一般投票)では、歴代現職大統領で最多となる7千万票超を得ているのだ。当選を確実なものとしたバイデンはそれを上回る7500万票だった。

 このことから言えるのは、トランプは負けてはいないし、バイデンは勝ってはいないということだ。はっきり言うと2人とも負けたのであり、これにより米国民も負けたというのが私の結論である。そう考える理由を述べてみたい。

 バイデンは勝利宣言で、「確信できる勝利だ。国民は7400万以上の票をもって当選させてくれた」と述べた。そして、民主、共和両党の有権者から幅広く支持を得たとし、さらに、白人だけでなくヒスパニック(中南米系)や黒人などの多様な人種からも得票できたことに感謝の意を表した。

 これは「ウソ」である。今回、民主党は黒人票もヒスパニック票も、かなりを共和党に奪われている。
米デラウェア州ウィルミントンで大統領選の勝利を祝う、民主党のバイデン前副大統領(右)とハリス上院議員=2020年11月7日(ロイター=共同)
米デラウェア州ウィルミントンで大統領選の勝利を祝う、民主党のバイデン前副大統領(右)とハリス上院議員=2020年11月7日(ロイター=共同)
 また、バイデンは「私は分断ではなく結束を目指す大統領になる」と高らかに宣言した。しかし、大勝したなら別だが、僅差で勝ったぐらいでは米国の分断を解消できない。