吉川圭一(グローバル・イッシューズ総合研究所代表)


 米大統領選でバイデン前副大統領が事実上勝利し、民主党政権となることが濃厚になっている今、「自分の主張は50年後に理解されるだろう」と訴え自決した三島由紀夫の憂いを改めて実感している。まもなく彼の自決から丸50年を迎えようとしているからだ。

 バイデン政権になれば、トランプ政権が実現しつつあった台湾(日本の重要なシーレーン)との関係強化や中東和平が、再び悪化する可能性が高い。バイデン氏も副大統領に就任するとみられるハリス氏も中国共産党に「買収」されていると、トランプ氏周辺の人々によって選挙直前に暴露されている。

 「買収」とまでは言わないにしても、バイデン政権になれば、ワシントンの既存の官僚組織に頼った政治を行うだろう。結果として、台湾との関係強化や中東和平が後退するということに他ならない。

 そもそも日本に石油がもたらされなくなればどうするのか。日本の一部が中国から本格的な攻撃を受けたらどうするのか。

 菅義偉(すが・よしひで)総理を含む各国のトップが、バイデン氏の「勝利」を祝福したようだ。外交官僚の意向で仕方なかったのかもしれないが、トランプ氏が起こしている選挙の不正をめぐる訴訟の結果を待てなかったのか。メキシコやロシアは静観していることを踏まえれば、非常に疑問である。

 今回の大統領選を振り返れば、日米共に共和党系の人々が投票日以降、手のひらを返すように、トランプ氏を批判し始めた。私としては嘔吐する思いである。まして、トランプ陣営が主張する「不正投票」と言うと、ロシアや中国のスパイとしてマークされると吹聴する人がいる。そう言う人は少なくとも真の保守派ではないだろう。

  実際に民主党極左派やワシントン官僚の代表的なオバマ前大統領周辺は、トランプ支持者のリストアップまで始めたという情報もある。バイデン政権になれば、どのような「恐怖政治」になるか分からない。

 トランプ氏は、保守系のFOXニュースを含むメディアがバイデン氏の勝利を報じた後「バイデンが勝者を装うために急ぎ彼の仲間が彼を助けようと懸命な理由は真実が暴露されたくないからだ。単純な事実は、この選挙はまだ終わっていないということだ」と述べている。
トランプ米大統領支援者に対抗するバイデン前副大統領の支持者=2020年11月8日、フィラデルフィア(AP=共同)
トランプ米大統領支援者に対抗するバイデン前副大統領の支持者=2020年11月8日、フィラデルフィア(AP=共同)
 選挙結果をめぐり、トランプ陣営の戦略の中心は新型コロナ禍の中で投票を容易にするためのいかなる措置も違憲で欺瞞だと主張することだ。これは最高裁を対象とした枠組みになる。第2の論点は投票を容易にするための措置の多くは州議会ではなく州知事によって行われ、これも憲法違反だという点だ。