2020年11月13日 12:28 公開

ボリス・ジョンソン英首相の上級顧問を務めるドミニク・カミングス氏が、年末までに辞任する見通しであることが12日、明らかになった。

今週、辞任のうわさが流れた際、カミングス氏はBBCの取材に、「私が辞任しろと脅されているといううわさは作られたものだ」と話していた。

一方で、「1月のブログの内容から、自分の立場は変わっていない」とも述べた。当該のブログでは、2020年末には「大幅に役職を解かれている」ことを望んでいると書いていた。

英首相官邸の関係筋によると、カミングス氏はクリスマスまでに「政府を離れる」という。

先には、首相官邸のコミュニケーション主任を務めていたリー・ケイン氏が辞任しており、官邸内の内紛が原因だと伝えられている。

ケイン氏とカミングス氏は長年の同僚で、欧州連合(EU)離脱をめぐる国民投票では共に離脱推進派として活動した。ケイン氏の辞任により、カミングス氏も政府を離れるのではないかとの憶測が流れていた。

<関連記事>

BBCのローラ・クンスバーグ政治編集長の取材に対してカミングス氏は、ケイン氏の辞任に伴い自分も辞任を迫られているといううわさや、「このうわさにブレグジット(イギリスのEU離脱)交渉が絡んでいるというのもでっち上げだ」と一蹴。一方で、1年近く前から現在の職務を辞する計画があったと述べた。

カミングス氏は今年1月、自身のブログに「政府のパフォーマンスを改善し、私の重要度を下げていきたい。1年以内にはほとんど解雇状態になりたい」とつづっていた。

カミングス氏とは

カミングス氏は公式のEU離脱運動「Vote Leave(離脱に投票を)」を展開し、離脱派のスローガンとなった「Take Back Control(コントロールを取り戻そう)」を考案したことで知られる。

2019年7月にジョンソン首相が就任すると、カミングス氏を上級顧問に抜てき。6カ月後には「Get Brexit Done(ブレグジットを実現しよう)」を掲げて総選挙に臨み、与党・保守党は過半数議席を獲得した。

それ以来、カミングス氏は表舞台に上ることが多くなった。一方で今春には、新型コロナウイルス対策のロックダウンで移動が制限されている中、カミングス氏が親類のもとへ国内を400キロ以上移動していたことが問題となり、夏には自身の記者会見を開いた。

離脱運動以前には、保守党のイアン・ダンカン=スミス元党首の戦術顧問や、教育相時代のマイケル・ゴーヴ内閣府担当閣外相の特別顧問を務めていた。

首相官邸、そして保守党内では決して人気のある人物ではなく、保守党議員や離脱派の議員を「有用なばか」と呼んで批判を招いたこともある。

ジョン・メイジャー元首相は昨年9月に行った演説で、ジョンソン首相に対し「強力すぎる顧問」に頼りすぎない方が良いと諭したが、これはカミングス氏のことを指しているとみられている。

メイジャー氏はこの演説で、「ジョンソン首相に友好的な助言をしようと思う。あの顧問たちが政治の空気を修正不能なまでに毒する前に排除すべきだ。急いだ方がいい」と述べていた。


<分析>ニコラス・ワット、Newsnight政治編集長

ドミニク・カミングス氏の周囲にとって、彼がクリスマスまでに首相官邸を去るというニュースは大きな衝撃ではなかった。

カミングス氏の友人の1人は、「ドムはあそこには長くいるつもりはなかった」と話している。

それでも、自分の副官だったリー・ケイン氏が不当な扱いを受けたと考え、失望しているのは確かだ。カミングス氏はジョンソン首相と何度も激しいやりとりを行った。

「Vote Leave」運動の指導者2人が政権を離れるのは大きな節目だ。

首相官邸の態度は柔らかくなり、気候変動に強い焦点が当たっていくだろう。ジョンソン首相も、新型ウイルスのワクチンが行き渡った世界では、願わくばソフトなイメージを取り入れたいと思っている。

カミングス氏には信奉者もいたが、批判する人も多くいた。

ある人は、「ブレグジットが終わった今、カミングス氏の役割も終わった」と話していた。


(英語記事 Cummings to leave No 10 role by Christmas