昨今の地方創生という議論の中で、国の機関の地方移転などがありますが、なかなか実現しません。言葉だけで「地方の時代だ」と言うのは簡単ですが、実行するのは難しい。一気に国の行政機関を移すのはそこで働く人や関係する人たちから反発もあるでしょうし、現実は難しいでしょう。ただ、医療や教育といった地方にあったほうがいい分野もあるわけですから、そういう分野から少しずつ進めていく必要があると思います。

 一番ネックになるのが、4大都市圏に集中する大学です。地方から進学して、そこで就職してしまうので若者が戻ってこないのは当然です。だからこそ、地方にあってしかるべきものを移して、受け皿になる部分を創生していかなければならない。こうした現実的な部分を国政できちんと議論していただきたいと思っています。

 最終的には政治的な判断次第でしょうね。政治判断がすべてだとは言いませんが、民間活力を動かすには、まず政治判断あってこそですからね。地方と国の関係も同様で、まず国の判断なくして地方は動きづらいわけです。菅義偉(すが・よしひで)首相がデジタル化を推進していますが、国と地方で格差が出てしまうようでは不安しかないですからね。

 話を戻しますが、私は立科町が自立していくことに自信を持っています。もちろん、簡単ではありませんよ。ですが、きめ細かい行政サービスのメリットがあるからです。合併なども生き残る道ですが、大きな自治体になれば隅っこは見えなくなるでしょう。

 新型コロナ禍に関する定額給付金も都市部では、なかなか届かない。でも、小さな自治体はすばやく対応できるわけです。これはある意味、地方であることの強みと言ってもいいでしょう。

 具体的な立科町の施策については、私が町長に就任する前からスタートしていますが、全国から学生を募って地元事業者の課題実現のためのアイデアを立案してもらう「タテシナソン」に期待をしています。
タテシナソンでテーマを提供した「牛乳専科もうもう」の牧場=2020年10月、長野県立科町(iRONNA編集部、西隅秀人撮影)
タテシナソンでテーマを提供した「牛乳専科もうもう」の牧場=2020年10月、長野県立科町(iRONNA編集部、西隅秀人撮影)
 これはもともと「アイデアソン」という取り組みがあって、「アイデア」と「マラソン」をくっつけた造語ですが、これを立科町独自にもっと実用的なものにしたわけです。「タテシナソン」のよい部分は、地元事業者の弱みを分析して、何が足りないのかを認識した上で、学生たちのアイデアを生かそうという点ですね。

 地元にいて事業をやっていると、どうしても視野が広がらない部分があります。そこを克服するために全国から学生たちを募って、しかもそのアイデアを実行するというところまで徹底するわけです。