そしてもっと広い視野でとらえれば、先に話した人口減という課題克服に結果的に寄与するんです。「タテシナソン」のプログラムは28時間(1泊2日)という限られた時間でチームでアイデアを立案することになっていますが、長野県内の学生も県外の学生も参加したきっかけで立科町をより深く知るわけです。

 すぐに効果があるものではないですが、将来的に仕事や移住、観光も含めて立科町に戻ってきてくればいいわけです。ありがたいことに、この「タテシナソン」は一般社団法人「日本地域広告会社協会」(略称JLAA)の「第4回JLAA地方創生アワード」の最優秀賞も受賞しました。すでに3回実施しており、今年はコロナの影響で中止しましたが、来年以降、感染対策をしっかりとした中で、もっと充実させて継続していきたいですね。

 今年は何と言ってもコロナ禍が深刻化し、あらゆる生活様式の転換を余儀なくされました。みなさんが大変な思いをしているのですが、ある意味地方は強みをアピールする最大のチャンスであることは言うまでもありません。素晴らしい自然環境と首都圏からの距離、そして何より「密」を避けることができますからね。

 立科町はコロナ禍の前からテレワークに関する取り組みを始めていましたから、これを機に他の地域に先駆けて、受け入れができる態勢づくりをしていくつもりです。

 また、今は、インバウンド(訪日外国人客)はストップしていますが、いずれ戻ってくるでしょう。ゆえに今は立科町の魅力を発信するときだと強く思っています。諸外国の方々も今は日本に行けないですが、情報はいくらでも入手できるので、可能になったら立科町に行こうと思ってもらうアピールをしっかりしておく必要があります。

 コロナ禍のために国内観光が活発になってきているのも見逃してはならないですね。海外旅行に重きを置いていた方々が、国内旅行で魅力的な穴場を探すようになってきています。これもチャンスととらえれば、地方観光の活性化につながりますからね。
町内各地で見られる特産品のリンゴ園=2020年10月、長野県立科町(iRONNA編集部、西隅秀人撮影)
町内各地で見られる特産品のリンゴ園=2020年10月、長野県立科町(iRONNA編集部、西隅秀人撮影)
 テレワークに加え、ワーケーションという概念も定着しつつあります。今は、これまでの価値観が180度といっていいほど変わりつつあるだけに、地方もこの価値観の転換を的確にとらえて、民間活力が存分に発揮できるベースづくりを進めたいですね。

 知恵を絞って、それを発信する。基本的なことかもしれませんが、まさに今はチャンスだと思っています。(聞き手、編集、iRONNA編集部)

 もろずみ・まさよし 長野県立科町長。1953年、立科町生まれ。高校卒業後、東京都内の出版社で勤務。その後、立科土地改良区、農事組合法人勤務を経て、2015年に町議選で初当選。19年の町長選に立候補して現職町長を破り初当選し、現在1期目。

 
【関連コンテンツ】
 ◎タテシナソン」公式ウェブサイト
 ◎タテシナソン」ドキュメンタリー動画
 ◎立科WORKTRIP」(開発合宿・ワーケーションを立科で)