
2020年11月19日 12:43 公開
英誌エコノミストの調査部門「エコノミスト・インテリジェンス・ユニット(EIU)」がこのほど発表した「2020年世界で最も生活費の高い都市ランキング」で、香港、スイス・チューリッヒ、フランス・パリが1位となった。昨年、香港と並んで首位だったシンガポールと大阪は順位を下げた。
EIUの調査によると、シンガポールが4位に転落したのは、新型コロナウイルスのパンデミックの影響で外国人労働者が流出したことが要因という。
タイ・バンコクは20位順位を下げ、46位となった。
一方でアメリカとの緊張関係が物価を押し上げている中国では、ほとんどの都市が順位を上げた。
「アジアの都市が過去数年間のランキングを占めてきたが、新型ウイルスのパンデミックの影響で今回ランキングが入れ替わった」と、EIUの世界の生活費部門トップのウパサナ・ダット氏は述べた。
EIUの報告書は国外駐在者向けのもので、そのデータをもとに多国籍企業が出張経費や駐在費を計算するのに役立っている。
物価が高い欧州
アメリカ大陸、アフリカ大陸、東欧では昨年より物価が下がった一方で、西欧の都市の物価は上昇した。
上位10都市中4都市を西欧が占めており、スイス・チューリッヒとフランス・パリが1位で並んだ。
7位にはスイス・ジュネーヴが、9位にはデンマーク・コペンハーゲンが入った。
これは、各都市と米ニューヨークの生活費を比較する指標において、欧州の通貨が相対的に強いことが一部反映されている。
最も物価が上昇したのはイラン・テヘランで、アメリカによる制裁で物資供給が影響を受けていることから順位を27位上げた。
高いタバコ、安いシャツ
EIUは9月、約130の主要都市で138の商品やサービスの価格を比較した。
全体的な価格はほぼ横ばいで推移していたものの、必需品の価格はそうでないものよりも回復力が強かったという。
物流面の課題も価格に影響を与えており、トイレットペーパーやパスタなどの商品不足が一部カテゴリーの価格を押し上げた。
EIUが調査した10のカテゴリーのうち、価格が最も上昇したのはタバコと娯楽で、衣料品は最も急落した。
「消費財の面では、コンピューター価格が急騰した一方で、衣料品価格は下落している」と、EIUのダット氏は述べた。