ハワイ県


 ──どのようなことを学ばれたのですか。

モーガン アジア研究です。そのときに中国の歴史として、張作霖の息子の張学良について学びました。中国に学問を切り替えたのは、名古屋大学で中国人と友達になり、「あ、そうか! 中国について何も知らないな」と思ったのがきっかけですね。そこから急いで勉強を始めて、中国の昆明で半年ほど中国語を学び、3年ほど中国史の勉強をしました。でも文化史は向いていないですね。

 ──中国にいらっしゃったのは……。

モーガン 半年くらいですね。中国からアメリカに戻って、さらに半年ほど勉強し、その後にハワイ大学で中国史を2年間学ぶというかたちで3年ですね。でもハワイ大学はあまりにも左傾化していて……。アメリカから独立したいということかもしれませんが。

 ──ハワイが独立? ……今は世界的にそうした風潮がありますね。

モーガン でも米海軍が去れば、中国の脅威を感じるのではないかと思います。ハワイに住んでいるときは、ハワイ県と呼んでいましたよ。日本からの観光客が非常に多かったので。アメリカというよりは、日本という雰囲気がありますね。

 ──日本人には日本語が通じるという安心感がありますね。

モーガン よいところです、ハワイは。大学はちょっと問題があるけれども(笑)。

 ──ところで最近の日米の歴史論争というか、中国や韓国が政治的な理由で吹っ掛けている歴史問題についてはどのようにお考えですか。

モーガン 最近187人がサインした声明を読みましたが、本当にびっくりしました。中国や韓国の内側は「ユアビジネス」というように批判されていますが、もう日ごとに意見がひっくり返っている。日替わりランチのように、毎日違っていますよね。

 ──まったく。

モーガン 自分の都合によって意見を変えるという点は、やはり問題でしょうね。しかし、中国や韓国が持ち出す歴史問題はどう見ても政治の動きとしか解釈できない。中国や韓国は安倍政権が大嫌い、もしくは安倍政権だけでなく日本が好きじゃないということが根底にあります。もし習近平がアメリカ議会で演説したとして、毛沢東の罪を認めろと言う人はいますか。いないでしょ。毛沢東の方が日本にとっても、アメリカにとっても、はるかに罪が大きいですが、そのようなことは起こらない。私は毛沢東が20世紀の中で最も悪い人間だったと思っているのですが、それでも起こらない。

“猫かぶり”はやめなさい


 ──平川祐弘さんは、先ごろの産経新聞のコラム「正論」で、「スターリンは少数民族強制移住だけでも千数百万人、毛沢東は二千数百万人の死者を出した」と記述されていました。

モーガン ヒトラーをはるかに超えていますね。毛沢東は本当に恐ろしい。しかし、今でも天安門に行くと、毛沢東の大きなポスターが掛けられています。それで本当に歴史の罪を認めているのかと聞きたいですね。そしてなぜ日本だけを批判しているのかとも。

 彼らは誤魔化しているんですよね。中国の学者は政治と関わりたくないと言っていますが、植村隆氏が向こうに行けば大歓迎ですよ。植村氏はコロンビア大学で演説などをしているそうですが、なぜ植村氏だけを招いて、植村氏に反対している人、たとえば秦郁彦氏や藤岡信勝氏は招かれないのか。政治と関わりたくないと言っていますが、それは完全に違う。行動を見ればわかります。“猫かぶり”はやめなさいと言いたいですね。

 向こうはご存じの通り、左翼ばかりです。しかも反対意見を主張すれば、自分の仕事が危なくなるという社会です。そういう面があるからこそ、187人が声明にサインをしたのではないかと思っています。反対すれば仕事が危ないよって。あとジグラーとベントリーの教科書の二段落については、ほとんど何も言っていないんですよね。慰安婦が天皇陛下からの贈りものとかそのような点について触れていません。それは謝るべきですね。日本政府に対して、侮辱してごめんなさいと。

 ──あれは教科書の記述とは思えませんね。

モーガン はい。

 ──「天皇からの贈りもの」っていう発想からしてよく理解できない。

モーガン それはフィクションで、且つ、侮辱が目的だからですよ。

 ──ある種のブラックジョークですかね。

モーガン そうですね。日本に対して説教するのではなく、まずは自分たちの歴史観をしっかりと整理してほしいです。そして、他の人の意見を受け入れようとしてほしいですね。あとアメリカ人は歴史観にあまり興味を示さない人が多いんです。若い人に「南北戦争はどっちが勝った?」と聞くと「フランス!」なんて答えが返ってくるほどですから(笑)。

本当に恥ずかしい


 ──アメリカの歴史学会が、あれほどひどいものとは思わなかったですね。「勝者の歴史観」そのままで、東京裁判史観のまま時間が止まったままです。それでも学者で通るんですね、米国では。

モーガン 私も敬意を失いました。まだ尊敬する人もいらっしゃいますが、全体的に腐敗していると言うか、そこまで傾いているのかという感じですね。

 ──少なくとも彼らのレベルは、日本でいえば三流週刊誌なみです。ウラをとってないでしょ。

モーガン 本当に恥ずかしい限りです。逆に日本の学者がアメリカに対してお説教をすればいいと思います。このように学者として周りの人の意見を聞き、じっくりと資料を見て安易に即断しない。それは歴史学の一番基本的なことです。彼らには改めてそのことを勉強してほしいですね。

 ──米国の学者で日本語の文献を読める人はどれくらいいるんでしょうか。左翼学者の書いたものばかりが英訳されるから、そもそも参考文献の段階で偏向しているわけです。

モーガン すると私の批判は、ほとんど日本語で書いていますので、向こう側が読んでいるかどうかということですね(笑)。

 ──でも存在を知られると、けしからん奴がいるといって、とんでもないイジメに遭う可能性がありますね。

モーガン 自信を持っていますよ。ぶつかって来いと思っています。正しいものは正しいと信じていますから。

※注 フルブライト奨学金制度で来日しましたが、本稿の意見は個人のものであることをお断りしておきます。

Jason Morgan 
Born: 1977, Metairie, Louisiana, USA
Age: 37
BA, History and International Studies, University of Tennessee, Chattanooga (2001) Kenkyuusei, Nagoya University (2001-2002) MA, Asian Studies (China focus), University of Hawai'i, Manoa (2005) MA, History, University of Wisconsin, Madison (2013)PhD candidate, University of Wisconsin, Madison (History)