2020年11月24日 12:07 公開

香港で昨年6月に違法集会を扇動したとして、公安条例違反罪に問われた著名な民主派活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏ら3人の公判が23日行われ、それぞれ起訴内容を認めた。保釈の継続は認められず、3人は即日収監された。

民主派活動家の黄氏、林朗彦(アイヴァン・ラム)氏、周庭(アグネス・チョウ)氏の3人は23日、香港の裁判所に出廷。黄氏は自分には恐らく懲役5年が言い渡されると思うと述べた。

大規模デモは、香港での反政府的な動きを取り締まる中国の「香港国家安全維持法」(国安法)施行(6月30日)よりも前に起きたため、国安法の適用は免れた。同法に違反すると最高で終身刑が科される可能性がある。

黄氏は7月の公判で起訴内容を否認していたが、弁護士と相談して変更を決めたと明かした。

「我々3人は全ての罪を認めることにした」と、黄氏は裁判所前に集まった報道陣に述べた。「今日、直ちに勾留されても不思議ではない」。

そして、「我々は自由のために闘い続ける。今は中国政府にへつらい、降伏する時ではない」と付け加えた。

3人は量刑が言い渡される12月2日まで勾留される。

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何に関する起訴なのか

黄氏、林氏、周氏は昨年6月に香港で無許可の集会を組織化し、参加した罪に問われた。

昨年に発生したデモでは、デモ隊が香港の警察本部に卵を投げ付けたり、スプレーで落書きしたりした。

3人はこうしたデモのうちの1件をそれぞれが主導、扇動し、参加した罪で起訴された。

黄氏は以前、起訴によって自分の活動が阻まれることはないとし、「収監も、選挙の禁止も、そのほかの恣意(しい)的な権力も、我々の活動は止められない」と述べていた。

「我々は今、世界に自由という価値を示している。自分たちの自由を犠牲にしても構わないほどに愛する人たちへの思いやりを通して」

黄氏らの経歴

黄氏は数年にわたり香港の民主化運動に参加しており、過去に数回、短期間収監された経験を持つ。

現在24歳の黄氏は2014年の民主化デモ「雨傘運動」で学生リーダーとして有名になった。

昨年に始まった新たな一連の抗議活動も支援した。昨年の抗議活動ではデモ隊と警察が激しい衝突を繰り返した。

中国政府は中国からの分離独立や中央政府の転覆、テロ行為、外国勢力との結託などを厳しく罰する、香港における大々的な治安維持法を新たに導入した。

これを受け、黄氏は自身が立ち上げた民主化を求める政党・香港衆志(デモシスト)を解散した。林氏と周氏も同団体の元メンバーだ。

周氏は8月にも国安法違反容疑ですでに逮捕されているが、その後保釈された。

23日の出廷に先立ち、周氏はフェイスブックに「覚悟はできている」ものの実刑判決をうけるかもしれないことに今も恐怖を感じていると書き込んだ。そして、「勇気を持って立ち向かうために最善を尽くす」と続けた。

「もし今回、実刑が言い渡されれば、私は人生で初めて収監されることになる」と周氏は述べた。「ですが多くの友人に比べれば、私が受けてきた苦しみはほんのわずかだ」。

デモの背景

かつてイギリスの植民地だった香港は1997年にイギリスから中国に返還された。英中は「一国二制度」の下、返還から50年は香港に集会や言論の自由、独立した司法、民主的権利といった中国大陸ではみられないような一定の自由を保証することで合意していた。

香港における中国政府の影響力が増大することで、こうした権利や自由が徐々に損なわれていくのではないかと、活動家たちは危惧している。観測筋の大半は、抗議者を以前より容易に厳しく罰することができる国安法の施行が、こうした懸念を裏づけたと指摘している。


<解説>裁判所の様子――ダニー・ヴィンセント、BBCニュース(香港)

抗議者たちが禁錮刑を受けるのは、今日の香港では珍しいことではない。昨年から数千人が逮捕され、毎週のように抗議関連の裁判が行われている。

しかし23日に出廷したのは、香港で最も注目を浴びる活動家のうちの3人だった。

3人を拘置所へ運んでいるとみられる刑務所のバンが通りに現れると、3人の支持者たちが集まって手を振り声を上げた。一部の活動家はバンが走り去る際に広東語で黄氏の名前を呼んだ。

黄氏は23日、ボートで台湾に逃れようとして逮捕され、現在中国大陸で拘束されている香港の活動家12人の窮状への関心を高めるため、自身のプラットフォームを通じて呼びかけた。

多くの活動家が、香港の若者は攻撃を受けていると感じている。昨年以降、抗議関連で1万人以上が逮捕され、2000人以上が起訴されている。逮捕者のうち1000人以上は18歳未満だ。


(英語記事 Joshua Wong pleads guilty in Hong Kong trial