2020年11月24日 11:56 公開

アメリカのジョー・バイデン次期大統領の政権移行チームが23日、国務長官など重要閣僚の候補を発表した。

国務長官には、長年にわたってバイデン氏を補佐してきたアントニー・ブリンケン氏(58)が指名された。気候変動問題を担当する大統領特使には、ジョン・ケリー元国務長官があてられる。

米メディア報道によると、財務長官には、米連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレン前議長(74)が女性として初めて指名される見通し。

バイデン氏は閣僚候補の発表後に声明を出し、「アメリカが交渉の場で主導的な立場に戻り、世界がひとつになって難題に立ち向かうよう働きかけ、私たちの安全保障、繁栄、価値を推進するためのチームが、(政権発足)初日から必要だ。それがこのチームの中心的役割だ」とした。

閣僚や大使など、人事案の一部は上院の承認が必要となる。


ドナルド・トランプ大統領は、大統領選で不正があったとする立証されていない主張を続け、選挙結果をめぐって法廷で争う姿勢を取り続けている。

ただ、トランプ氏は23日夜、バイデン氏による政権移行手続きの開始を認めることをツイッターで表明した。トランプ氏に対しては、敗北を認めるよう求める声が高まっている。

政権移行の手続きを担当する一般調達局(GSA)のエミリー・マーフィー長官は、バイデン氏にあてた手紙で、連邦予算630万ドルや連邦政府の設備を政権移行手続きに使えるように許可すると伝えた。

大統領を正式に選ぶ12月14日の選挙人による投票では、バイデン氏が当選に必要な270票を大きく上回る306票を獲得し、232票を得るトランプ氏を破る見込みとなっている。

重要閣僚の顔ぶれ

外交を担う国務長官に指名される見通しのブリンケン氏は、バラク・オバマ前大統領の政権で国務副長官や副大統領補佐官(国家安全保障担当)を歴任した。同政権でバイデン氏は副大統領を務めた。

ブリンケン氏は人事案の発表後、「ここ15時間の間に、友人や同僚にたくさんの言葉をかけてもらい、身が引き締まる思いです。国務長官に指名されたことを正式に発表できて、光栄に思います。承認されれば全身全霊で使命を全うします」などとツイートした。

https://twitter.com/ABlinken/status/1330955503241990144


バイデン氏は西側同盟国との関係を再強化する方針を示しており、ブリンケン氏はそうした外交を推進するとみられる。


国家情報長官には、初の女性となるアヴリル・ヘインズ氏が指名された。同氏は中央情報局(CIA)副長官や、副大統領補佐官(国家安全保障担当)を務めた。

国土安全保障長官には、アレハンドロ・マヨルカス氏がラティーノ(中南米系)として初めて起用される。同氏はオバマ政権で、国土安全保障省の副長官を務めた。

国家安全保障担当の大統領補佐官には、ジェイク・サリヴァン氏が指名された。同氏はオバマ政権2期目に、バイデン副大統領(当時)の国家安全保障担当の補佐官だった。

国連大使には、リンダ・トーマス=グリーンフィールド氏が選ばれた。同氏もオバマ政権で2013~2017年、アフリカ問題担当の国務副長官を務めるなどした。

元国務長官が環境特使に

大統領特使に起用されたケリー氏は、気候変動問題を専門とする高官として初めて国家安全保障会議(NSC)に出席する。

ケリー氏はオバマ政権の2期目に国務長官を務め、2016年にアメリカ代表として地球温暖化対策のパリ協定に署名した。トランプ政権はパリ協定から正式に離脱したが、バイデン氏はできる限り早期に復帰する意向を示している。

ケリー氏は2019年、世界の指導者や有名人らと、炭素排出の実質ゼロを目指すグループを設立した。

今回の指名が報じられると、ケリー氏はツイッターで、「アメリカはもうすぐ、気候危機を正当に、国家安全保障にとっての緊急な脅威として扱う政府を手に入れる」と発言した。

ケリー氏は上院議員を28年間務め、外交委員会の委員長にもなった。2004年大統領選では民主党候補になったが、共和党現職のジョージ・W・ブッシュ大統領(当時)に敗れた。

今年の大統領選ではバイデン氏を支持し、同氏の選挙運動にも加わった。

イエレン氏とは

財務長官への起用が報じられているイエレン氏は、ビル・クリントン政権で米大統領経済諮問委員会(CEA)委員長を務めた。

2007年の金融危機とその後の景気後退から、経済を回復させるのに一役買ったと評価されている。

FRB議長時代には、金融政策が国内労働者や格差に与える影響を重視していたことで知られる。2018年にはトランプ大統領が伝統を破り、イエレン氏を議長の2期目(任期4年)に指名しなかった。

家庭医と小学校教員との間に生まれたイエレン氏は、ニューヨーク市で育った。ブラウン大学で経済学の学位を取得し、イェール大学で博士課程を終えた。

これまでFRBで勤務したほか、カリフォルニア大学バークレー校で教授を務めた。夫はノーベル賞を受賞した経済学者ジョージ・アカロフ氏。

BBCのバーバラ・プレット=アシャー米国務省担当編集委員は、バイデン氏の政権移行チームが発表した人事案について、アメリカがトランプ政権の激動の4年を経て、以前のように国際舞台での役割に復帰するつもりだという意思表示だと解説している。

(英語記事 John Kerry named as Biden's climate tsarYellen tipped as first US female treasury secretary