2020年11月26日 12:54 公開

イギリス王室サセックス公爵夫人メガン妃(39)は25日、今年7月に第2子を流産していたことを明らかにした。

米紙ニューヨーク・タイムズへの寄稿でメガン妃は、「1人目の子どもを抱きながら、2人目を失っていることを感じていた」、「耐えられないような悲しみを感じた」とつづった。

また、「粉々になった私の心を抱きしめようとして、夫(サセックス公爵ハリー王子)の心が壊れていくのを」見ていたと語った。

「2020年は、喪失感と悲しみがあらゆる人を襲った年だった」

メガン妃は自身の経験を語ることで、感謝祭の休暇には「他の人に『大丈夫?』と聞いてあげてほしい」と呼びかけた。

関係筋によると、メガン妃は現在は健康だという。また、サセックス公爵夫妻は流産がめずらしいことではないと気付き、7月に起きたことについて話したいと思ったという。

英王室バッキンガム宮殿は、「非常に個人的な問題なのでコメントは控える」としている。

ハリー王子とメガン妃は、今年初めに王室の公務から退くと発表。現在はメディアの注目を避けるため、米カリフォルニア州に移住している。

2019年5月6日には、第1子のアーチーちゃんが生まれた。

イギリス王室では2018年にも、エリザベス女王の孫のザラ・ティンダール氏が、2度の流産を経験したことを明らかにしている。

メガン妃は寄稿の冒頭で、アーチーちゃんの子守りをしている時に「激しい腹痛」を感じたと説明した。

「アーチーを腕に抱きながら床に倒れてしまった。お互いに落ち着くために子守唄を口ずさんだが、明るい曲調とは裏腹に、何かがおかしいと感じた」

「数時間後、私は病院のベッドで夫の手を握っていた。夫の手は湿っていて、握った拳は2人分の涙で濡れていた。私はそこにキスした」

「冷たく白い壁を眺めながら、私の目はどんよりとしていた。どうやってこの状況に対応していくのか、想像しようとした」

「子どもを失うことは、耐えられそうにない悲しみを抱えること。多くの人が経験しているのに、ほとんどの人が話さないことだ」

「私たちは喪失の悲しみに暮れながら、100人の女性がいたら、10~20人は流産を経験するということを知った」

「この痛みはあまりにありふれたものなのに、それについての会話は依然としてタブーで、(いわれのない)恥にまみれ、孤独な悲しみのサイクルを続けるしかない」

「勇敢にも、体験談を話してくれた人たちがいる。誰か1人が真実を語れば、他のみんなも同じことができると分かって、扉を開けてくれた人たちだ」

「大丈夫ですか?」

メガン妃はまた、昨年9月に南アフリカを訪問した際に、ジャーナリストから「(母親になって)大変ではないか」とねぎらわれたことにも言及。インタビューが行われた当時は、「公衆の目にさらされる中、勇敢な顔を保とうと努力していた」と語った。

「私は彼に率直に答えたが、それが母親になったばかりの女性やすでに子どものいる女性など、それぞれの状況でひそかに傷ついていた多くの女性たちの反響を得るとは思っていなかった」

ジャーナリストのトム・ブラッドビー氏は南アフリカでの取材中、「Are you OK? (大丈夫ですか?)」と語りかけた

メガン妃は、「私にそういう言葉をかけてくれる人は多くないので感謝します」と述べた上で、妊娠や子育てで女性にかかる負担を語っていた。

「偏見を打ち破る」

慈善団体「トミーズ」によると、妊娠は4分の1の確率で流産になってしまうという。

トミーズの助産師ソフィー・キング氏は、妊娠中に子どもを失うことは「社会の禁忌」になっており、「メガン妃のような母親が体験を語ることが、偏見と恥を打ち破る重要な一歩になる」と話した。

また、メガン妃の「率直さやオープンさ」が「子どもを失った全ての人への力強いメッセージになる。深い孤独を感じるかもしれない体験だが、あなたは独りじゃないというメッセージだ」と述べた。

死産や新生児の死亡事例に関する慈善団体「サンズ」のクレア・ハーマー会長は、流産や赤ちゃんの死に関する偏見は「悲しい現実」として存在しており、「多くの親たちが孤独を感じている」と指摘した。

「今年は多くの人が孤立を感じており、このパンデミックの中で赤ちゃんを失った親にはさらにつらい状況だ」


<解説> 流産:親にとって深く長く続く影響 ――スミサ・ムンダサド、 BBC健康担当記者

イギリスでは毎年、約25万件の流産が報告されている。その大半が、妊娠12週目までに起こる。

衝撃的なほどありふれた経験だが、大抵は自宅でひっそりと、あるいは病院で速やかに対処される。

多くの親たちが、その悲しみを静かに抱え、社会に一刻も早く「普通の生活」に戻るよう期待されていると感じることもある。

しかし慈善団体や研究者は、妊娠中に子どもを失った経験による長期的な影響をもっと認知すべきだと指摘している。

流産を経験した女性の6人に1人が、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状を訴えるという研究もある。

悪夢を見たり、フラッシュバックが起きたりという症状が何カ月も続く場合や、不安症やうつ状態に陥ることもよくあるという。

苦痛を受けるのはパートナーも同様で、12人に1人が同じような症状を抱えている。

産科の専門家は、女性とパートナーが、体調面だけでなく心理学的な支援を受けることが重要だと指摘する。しかしこうした支援は大抵、リソースが足りていない。

また、流産の起きる原因についてもあまり知られていない。妊娠の第1期と第2期のどちらでも起こり、大半は防げない。

通常は、子宮内で胎児の成長に何らかの異変があった場合に発生する。出血したり、下腹部の強い痛みで発覚する。

妊娠中の女性は、どちらかの症状が出た場合には医療機関のアドバイスを受けるよう推奨されている。


(英語記事 Meghan tells of 'unbearable grief' of miscarriage