2020年11月26日 14:21 公開

アメリカのジョー・バイデン次期大統領は感謝祭前日の25日、同国が新型コロナウイルスの感染症COVID-19との長く厳しい冬に直面する中、国内のひどい分断を乗り越えて団結するよう国民に呼びかけた。

バイデン氏は国民に向けた演説の中で、アメリカ国民が闘っているのは新型ウイルスであり、国民同士ではないと述べた。

そして、国内で感染者が急増し続けていることから、伝統的な方法で祝日を過ごすのは控えるよう求めた。

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こうした中、ドナルド・トランプ大統領は3日の大統領選の結果を覆すために動くよう支持者を促した。

ペンシルヴェニア州議会の共和党議員が主催するイベントで、電話を通じて演説したトランプ氏は、選挙で不正行為がまん延しているとの立証されていない主張を繰り返した。

「我々は選挙結果をひっくり返さなければならない」、選挙は「不正に操作された」と、トランプ氏は付け加えた。

トランプ氏はイベント会場に実際に足を運ぶはずだったが、同氏の弁護士ルディ・ジュリアーニ氏の同僚2人が新型ウイルス検査で陽性と判定されたため取りやめた。ジュリアーニ氏本人は会場に出向いた。

3日の大統領選では、バイデン氏が当選に必要な選挙人270人以上の306人を獲得して勝利した(トランプ氏は232人を獲得)。23日にトランプ氏がバイデン氏による政権移行手続きの開始を認めたことから、次期政権への移行は順調に進んでいる。トランプ氏側は選挙の勝敗を左右する重要州で訴訟を連発しているが、これまでのところいずれも失敗に終わっている。

「新型ウイルスに打ち勝てる」

バイデン氏は国民に対し、「あなた方には常に大統領から真実を聞く権利があると信じている。我々はこのウイルスの感染拡大を遅らせなければならない。医師や看護師、最前線で働く人々のために。(中略)同志である市民のために」と述べた。

そして、COVID-19は「痛みや損失や失望を我々にもたらし」、多くの命を犠牲にしたとした。

「新型ウイルスは我々を分断し、怒りを与え、互いに対立させた。この闘いによる疲弊が増大していることは分かっているが、我々は覚えておく必要がある。我々が闘っているのは新型ウイルスであり、国民同士ではないことを」

「我々は覚悟を持ち、努力を倍増させ、この闘いに再度取り組まなければならない」

バイデン氏は感謝祭の祝い方も変更するよう求めた。自分は例年のような大規模な集まりをやめ、妻ジル氏や娘、義理の息子とだけ過ごすとした。

保健当局の警告をよそに、感謝祭にむけて数百万人のアメリカ人が移動している。ただ、人数は過去に比べて減少している。

バイデン氏はいずれパンデミックを打ち負かすと誓った。

「我々は新型ウイルスに打ち勝てるし、そうなると確信している」、「日常が元通りになると約束する」とバイデン氏は述べた。

「このひどい分断の季節が(中略)希望の光と団結のある年へ移っていくと信じている」

アメリカは新型ウイルス感染者が増え続ける中で、感謝祭を迎えることとなる。

24日には1日当たりの死者が5月以来初めて2000人を超えた。米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、これまでの死者数は26万2132人で世界最多となっている(日本時間26日正午時点)。

政権移行で何が起きているのか

3日の大統領選から3週間近くたった23日、トランプ氏はようやく正式な移行手続き開始に合意した。

これによりバイデン氏は、来年1月20日の大統領就任に向けて準備を進めるうえで、政府の主要職員や数百万ドルの連邦予算にアクセスできるようになった。

また、大統領への日々の報告を受けられるようにもなる。報告文書には、最新の世界情勢における脅威や動向が詳述されている。バイデン氏の側近のジェン・サキ氏は、同氏が30日にも最初の報告を受けることになると明かした。機密情報については、すでに同氏の上級チームに共有されているという。

バイデン氏は24日に閣僚ら重要ポスト6つの人事を発表。国家安全保障担当の大統領補佐官にはジェイク・サリヴァン氏を指名した。来週には経済チームを発表する予定。

気候変動問題担当特使や大統領補佐官(国家安全保障担当)を除き、就任には議会上院の承認が必要となる。

(英語記事 We're at war with the virus, not each other - Biden