2020年11月27日 11:09 公開

フランス・パリ中心部で黒人の音楽プロデューサーが警官に殴られる様子の映像が浮上し、仏当局は25日、警官3人を職務停止処分にした。

この事件は21日に起きたもので、同国の治安部隊に対する新たな反発を引き起こしている。

警察は23日、パリ市内の仮設難民キャンプを解体した際に不必要な武力行使があったとして非難されていた。

フランスでは政府が、警官の顔を撮影し公にすることを禁じる法律を導入しようとしている。こうした中で今回の殴打事件が起きた。

法案をめぐっては、警官の顔が映った映像がなければ、先週に起きた事件は1つも明るみにならなかっただろうとの批判の声が上がっている。

「人種差別にノーと言おう」

仏サッカー界のスター選手で黒人のキリアン・エムバペ氏は25日、仏代表チームのほかの選手や仲間と共に事件を非難した。

エムバペ氏は「耐えられない内容のビデオで、容認できない暴力行為だ。人種差別にノーと言おう」と、顔から流血している音楽プロデューサーの写真付きでツイートした。被害にあった男性の名前は「ミシェル」というファーストネームだけ明らかになっている。

事件を捉えた防犯カメラ映像は、オンライン・ニュースサイト「Loopsider」が25日に公開したもの。映像では、男性がスタジオに入った後に警官3人が蹴ったり、殴ったり、警棒でたたいたりする様子が確認できる。同サイトによると、男性はマスクを着けていなかったため警官に呼び止められたという。

https://twitter.com/Loopsidernews/status/1331907050281046017


人種差別的な言葉も

ミシェル氏は、5分間殴られた際に人種差別的な言葉も受けたと主張した。

同氏は拘束され、暴力行為と公務執行妨害の疑いで訴追されたが、検察はこれを退け、代わりに警官に対する捜査を開始した。

25日に弁護士と共に警察本部を訪れたミシェル氏は記者団に対し、「私を守る立場にいるはずの人たちが私を襲った。こんな目に遭うべきじゃなかったのに。私はただ、3人が法に基づいて罰せられることを望んでいる」と述べた。

パリ市長のアン・イダルゴ氏は「耐え難い行為」に「深く衝撃を受けた」とした。

ジェラルド・ダルマナン内相は仏テレビ局に対し、警官3人が「共和国の制服を傷つけた」とし、3人の免職を強く求めると述べた。

ダルマナン氏は今週初め、警察がパリ市内の仮設移民キャンプを解体し、移民や活動家と衝突した後、完全な報告書を提出するよう警察に命じていた。

一部で「衝撃的な」シーンがあったと、ダルマナン氏はツイッターで明かした。

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「警官や兵士の顔の拡散禁止」法案

こうした中、仏政府は警官の顔を撮影することなどを禁止する法案を推し進めている。警察の行動を細かく調べるというメディアの能力を損なうものだとの批判の声が上がるなど、物議を醸している。

法案の第24条には、警官や兵士を個人として標的にするとされるソーシャルメディア上に、警官や兵士の画像を投稿するのは犯罪行為だとある。

政府は新法案について、警察による虐待行為を報告するというメディアと一般市民の権利を危険にさらすものではないと主張している。

政府は第24条が「警官あるいは兵士の身体的・心理的完全性を傷つけることを明確に目的とした画像の拡散のみを対象とする」とした修正案を追加した。

違反して有罪となれば、1年の禁錮刑または最大4万5000ユーロ(約557万9000円)の罰金刑が科される可能性があるとしている。

(英語記事 Paris police suspended over beating of black man