片岡亮(ジャーナリスト)

 大みそかに無観客で開催される第71回NHK紅白歌合戦を前に「過去20年で最高の視聴率を記録するのではないか」という期待の声が、芸能関係者の間で囁(ささや)かれている。

 理由の一つは年内で活動休止する嵐が出演することだ。2017年、翌年に引退を控えた安室奈美恵が出たときも話題になり、歌手別視聴率が最高48・4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)を記録した。

 嵐は16年の43・7%、昨年の40・8%で2度トップになっており、「ラスト紅白で50%超え、もしかすると21世紀最高となった03年SMAPの57・1%を超えるかも」という声もある。

 なにしろ、新型コロナウイルス感染拡大の影響で在宅者が増え、全体的にテレビ視聴率の底上げが予想されている。コロナ禍での紅白がどんな形になるのか、好奇心を誘う部分もある。

 不倫報道で活動自粛中のアンジャッシュ・渡部建が、裏番組「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」(日本テレビ系)で電撃復帰するという予測について、「紅白がかなり数字(視聴率)を稼ぐだろうという危機感から生まれた奇策」と見る向きもあるという。

 紅白にとってマイナス面があるとすれば、今年は出場者予測などの事前情報で盛り上がれなかったことだろう。これは、コロナ禍で芸能イベントが激減し、記者たちが情報を小耳に挟めなかったためだ。

 正式に出場者が発表されたのは11月16日。表向き、NHKはそれまで出場者情報を漏らさないのが基本だが、実際はそうではない。例年、夏あたりから「〇〇が決まった」と漏らす関係者がいる。

 紅白歌合戦は、主にその年の活躍度を基準に出場者の選考をすることになってはいるが、NHKの番組制作者がすべての歌手、バンド、ユニットなどから、しがらみなく好きに選べるわけではない。
東京都渋谷区のNHK=2019年4月
東京都渋谷区のNHK=2019年4月
 早くからアーティストのスケジュールを押さえるには事前交渉が必要となる。紅白に出ない選択をするアーティストもいて、そうなると所属事務所に協力をお願いすることが不可欠だ。そこで、芸能プロ側がNHKに恩を売る形となり、歌手の選考に発言力を持ってしまうのである。