2020年11月29日 11:35 公開

フランス・パリで28日、悪意を持って警官の顔の映像や写真を撮ることなどを犯罪行為とみなす法案に対する抗議デモが行われ、警察が抗議者に催涙ガスを発射する事態となった。

仏内務省によると、パリ中心部に約4万6000人が集結した。

デモ隊の大半は平和的に行進していたが、一部が警官に石や花火を投げ付けるなどして警官隊と衝突した。複数の車や新聞販売店に火がつけられた。

当局によると46人が逮捕され、20人以上が負傷した。

28日には、パリのほかボルドー、リール、ナントなどフランス全土で抗議デモが行われた。

ジェラルド・ダルマナン内相は同日夜、警察に対する「容認できない」暴力行為を非難した。

警官の顔を撮影し公にすることを禁じる法案をめぐっては、警察による加害行動が記録できなくなり、報道の自由を損なうと批判が出ている。

「この法案は報道の自由、情報を与える自由、情報を得る自由、そして表現の自由を損なうことを目的としている」と、デモの主催者が述べたとAFP通信は報じた。

一方で仏政府は、この法案はオンライン上での嫌がらせから警官を守ることにつながるとしている。

防犯カメラ映像で警察暴力が明らかに

フランスでは25日、白人警官3人が黒人の音楽プロデューサーに人種差別的な言葉を浴びせ、殴る様子をとらえた防犯カメラ映像が明るみに出た。これはオンライン・ニュースサイト「Loopsider」が公開したもの。

ミシェル・ゼクレール氏がパリにある自身のスタジオ内で、警官に蹴られたり殴られたりする映像はフランス国内に衝撃を与えた。

エマニュエル・マクロン大統領は「容認できない」「恥ずべき」事件だとして、警察と市民との信頼を再構築する方法について迅速に政府案を取りまとめるよう求めた。

防犯カメラ映像に映っていた警官3人は25日に停職処分となり、取調べを受けている。

この事件に先立ちフランス政府は、警察がパリ市内の仮設移民キャンプを暴力的に解体し、移民や活動家と衝突したことについて、詳細な報告書を提出するよう警察に命じていた。

警官の顔撮影禁止、なぜ物議に

警官の顔を撮影し公にすることを禁じる法案は先週、仏下院で可決された。現在は上院の承認待ちの状態にある。

法案の第24条には、警官の「身体的・心理的完全性」を傷つけることを目的とした、職務中の警官の画像の公開を犯罪行為とするとある。

違反して有罪となれば、1年の禁錮刑または最大4万5000ユーロ(約560万円)の罰金刑が科される可能性があるとしている。

政府は法案について、メディアや市民が警察の加害行動を報告する権利を脅かすものではなく、警官の保護のみが目的だと主張している。

しかし法案をめぐっては、警官の顔が映った映像がなければ、先週発覚した複数の事件はなにひとつ明らかにならなかったはずだと、批判されている。

世間の批判が高まる中、ジャン・カステックス首相は27日、第24条を修正する委員会を設置する方針だとした。

(英語記事 Clashes at Paris rally against police security law