2020年12月03日 11:18 公開

アメリカのドナルド・トランプ大統領による恩赦をめぐって、贈賄工作があった疑いがあり、米司法省が捜査を行っている。1日に開示された裁判所の文書で明らかになった。

ワシントンの連邦裁判所が開示した文書によると、ホワイトハウス高官との接触を試みるなどの「秘密のロビー活動計画」に関する捜査を、捜査当局が8月に開始。司法省は「犯罪行為」があった可能性を示す内容が含まれているとして、通信記録や電子メールの閲覧を裁判所に求めた。

複数の人物(身元は開示されていない)が「登録要件を順守せずに、ホワイトハウス高官へのロビイスト役を務めた」という。ある人物(身元は開示されていない)の「恩赦あるいは刑の執行停止」を得るのが目的だった可能性があるという。

文書は個人が特定できる情報は黒塗りにされている。司法省は捜査対象は政府関係者ではないとしている。

トランプ氏は「恩赦をめぐる捜査はフェイクニュース」だとツイートした。

https://twitter.com/realDonaldTrump/status/1333979211745341441


退任を控えた大統領が恩赦を与えるために権限を行使するのはよくあることだ。

11月3日の米大統領選では野党・民主党のジョー・バイデン氏が当選確実となった。トランプ氏は選挙結果をめぐり裁判所で争ってはいるものの、来年1月に退任する見通しで、これまでに何度も恩赦を与えてきた。

11月25日には、側近だったマイケル・フリン元大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に恩赦を与えると発表した。フリン氏はトランプ政権のロシア疑惑捜査で連邦捜査局(FBI)に偽証したことを2017年に認めたが、今年1月に有罪答弁の撤回を表明。米司法省が5月に起訴を取り下げると発表していた。

こうした中、米メディアはトランプ氏が自分の家族に対する恩赦について議論していると報じている。

トランプ氏が恩赦や減刑を認めた人物は

米調査機関ピュー・リサーチ・センターによると、トランプ氏は今のところ、近年の米国大統領の中で恩赦や減刑を与えた数が最も少ない。

前任のオバマ氏は212件の恩赦と1715件の減刑を認めた。これはハリー・トルーマン第33代大統領以来、最多だ。

11月下旬時点で、トランプ氏は合わせて28件の恩赦と16件の減刑を認めてきた。

トランプ氏は先月にフリン元大統領補佐官の恩赦を認めた。7月には、共和党系ロビイストでトランプ氏の長年の盟友ロジャー・ストーン氏について、刑務所入所前に禁錮刑の執行を免除した。

2018年4月には、ディック・チェイニー元副大統領の首席補佐官だったルイス・「スクーター」・リビー氏(捜査当局に虚偽の証言をしたとして有罪)に、2017年8月には、法廷侮辱罪で有罪判決を受けていたアリゾナ州の元保安官ジョー・アルパイオ氏に恩赦を与えた

米メディアは、ロバート・ムラー米特別検察官のロシア疑惑をめぐる捜査で有罪となった、トランプ陣営の選対副本部長だったリック・ゲイツ氏や、外交顧問だったジョージ・パパドプロス氏など、多数のトランプ氏の盟友も恩赦を望んでいると報じている。

また、トランプ氏が自分の家族の恩赦についても検討しているとの報道もある。ただ、現時点で同氏の家族は誰も罪には問われていない。

NBCニュースはある情報筋の話として、トランプ氏が親族の誰かに不正を働いた疑いがあると考えているのではなく、周囲から攻撃を受けているように感じていることから、家族の恩赦を検討する案が浮上したと報じた。

米紙ニューヨーク・タイムズは、トランプ氏が自分の子どものドナルド・ジュニア氏やエリック氏、イヴァンカ氏と夫ジャレッド・クシュナー氏について、バイデン次期政権の標的にされるかもしれないと懸念しているようだと伝えている。

起訴されていない人物に恩赦を与えた前例は複数ある。

1974年にはジェラルド・フォード第38代大統領が前任のリチャード・ニクソン第37代大統領に先制的に恩赦を与え、ウォーターゲート事件後の起訴の芽を摘んだ。

(英語記事 US 'bribes-for-pardon' inquiry unveiled