2020年12月03日 12:08 公開

イランの議会は2日、国連の核施設視察を阻止したり、ウラン濃縮を推進したりできる新法を可決、成立させた。

新法では、外国からの制裁が向こう2カ月で緩和されない場合、政府に対しウランの濃縮率を20%まで引き上げるよう求める。これは2015年のイラン核合意で定められた3.67%を大きく上回る。

イランのハッサン・ロウハニ大統領は、この法律の施行に反対を表明した。

イランでは11月28日、最も著名な核科学者モフセン・ファクリザデ氏が首都テヘラン近郊で暗殺された。イラン政府はこれについて、イスラエルと国外の反政府勢力による、遠隔操作の兵器を使った犯行との見解を示した

イスラエルはこの事件について公式のコメントを発表していない。

ファクリザデ氏は2000年代初め、イランの核開発計画で重要な役割を果たした。イラン政府は一連の核開発事業はすべて平和利用のためだと強調している。

2015年の核合意は、イランが核開発の規模を制限する代わりに、欧米各国がイランに対する経済制裁を緩和するというもの。

しかしドナルド・トランプ米大統領は2018年、核合意から離脱すると発表した。その後、欧州の参加国はイランの石油・金融セクターに制裁を科した。

新法が核開発に与える影響とは

監督者評議会によって承認された新法では、イラン政府は核合意に参加した欧州各国に対し、2カ月以内に制裁を緩和するよう求める。

制裁が期日までに緩和されなかった場合、イラン政府はウランの濃縮率を20%まで引き上げるほか、ナンタズとフォルドウの核開発施設に最新の遠心分離機を導入する。

さらに、これらの施設に対する国連の査察を拒否する権利を政府に与えている。

国営ファルス通信は2日、「議長は本日、書簡で大統領に対し、正式に新法の施行を要請した」と伝えた。

新法が承認される前、ロウハニ大統領は「外交に打撃となる」として、政権は法案に反対していると話していた。

来年1月に就任するジョー・バイデン次期米大統領は、核合意に復帰する意向を示している。また、イランが「核合意を厳格に順守する」のであれば制裁を解除するとも発言している。

米紙ニューヨーク・タイムズの取材でバイデン氏は、「難しい問題だ」とした上で、「中東地域に最も求めていないこと、それは核保有量の拡大だ」と述べた。

イランは2019年7月に核合意で定められた濃縮率3.67%を突破。現在は4.5%まで引き上げている。

低濃縮ウランは、通常3~5%ほどの濃縮率で、原子力発電の燃料に使用できる。兵器レベルになると濃縮率は90%以上。

(英語記事 Iran passes law to boost uranium enrichment