柏木理佳(生活経済ジャーナリスト)

 消費税が10%に増税されてから消費が低迷していた中、新型コロナウイルスの感染拡大で先行き不安になり、家計の支出は減少している。これによって消費者は財布のひもを締めているのが現状だ。

 ところが、環境問題の意識が低く有料化されたレジ袋をまだ買い続けている人が多いのも日本人の特徴である。

 思い起こせば、バブル時の収入が多いとき、ブランド品には興味があっても社会貢献や環境問題には興味がなかったことに通じる傾向ではないか。

 子供のころからチャリティーやボランティア活動を習慣としている英国人とは違うのだ。ただ、日本でも2010年の東日本大震災以降は、ボランティアへの意識が高まり、特に震災などを経験した女子大学生は他の年代よりもSDGs(持続可能な開発目標)意識が高いというアンケート結果もある。とはいえ、購入プロセスへの効果はない。

 英国では、テレビ番組で著名人によるSDGsや社会貢献などへの取り組みが特集されるなど、企業によるコマーシャル戦略や情報提供が意識改革につながっていると思われる。

 そもそもSDGsは2015年に国連で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す目標として掲げている。

 英国を例に挙げると、スーパーでは、発展途上国の作物や製品を適正な価格で継続的に取引するフェアトレード商品が陳列されていたり、貧困地域の子供たちに商品を手渡した写真などのPOP広告も展開し、企業側のアピールもすさまじい。

 実際、英国の通信会社giffgaff(ジフガフ)は、新製品を売らず再生品を「一生使い続けます」という誓約書にサインして無料で手に入れる店を出すなどしている。

 そのためか、英国ではSDGsなど社会貢献に取り組んでいないスーパーより、取り組んでいるスーパー「セインズベリーズ」や「ホールフーズマーケット」を選んで足を運ぶ消費者も増えている。

 筆者が英国のスーパーで買い物客に購入理由をヒアリングしたところ「自身のお金が直接、寄付できたという実感があり、遠くてもセインズベリーズを選んでいる」と話していた。
※写真はイメージ(ゲッティイメージズ)
※写真はイメージ(ゲッティイメージズ)
 政府の取り組みも厳しく、レジ袋を有料化して9割削減に成功しただけではない。大企業から中小企業まで社会貢献や環境などの研修を実施しており、従業員の意識も高い。

 そのため、従業員が買い物に行くと、自然とそういった商品を購入することにつながっているのだ。筆者がマンチェスターを訪問したところ、プラスチック製レジ袋だけでなく紙袋さえも売られていなかった。