2020年12月04日 11:29 公開

アメリカの感染症対策トップのアンソニー・ファウチ博士は3日、イギリスの新型コロナウイルスワクチンの「スピード承認」を批判したともとれる発言をしたことについて謝罪した。

英政府は2日、米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型ウイルスワクチンを、世界で初めて承認した。安全性と効果が確認できたとし、短期間に承認に至ったのは問題がないとした。

米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長を務めるファウチ氏は同日、米FOXニュースで、英政府が米規制当局ほど「注意深く」ワクチンを分析していないと発言。さらに米CBSニュースでも、英政府は承認を「急いだ」と話した。

しかし3日になって、ファウチ氏は発言を後退。BBCに、「イギリスの取り組み方を批判したわけでなない」、「イギリスの取り組みは、科学と規制の両方の観点から深く信頼できるものだと思っている」と述べた。

また、「私たちの方法は、イギリスのものより時間がかかる。それが現実なだけだ」、「手抜きがあったと示唆するつもりはなかった。結果的にそうなってしまったが」と話した。

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英政府側が反論

ファウチ氏の「批判」に対しては、英政府関係者らが反論していた。

医薬品・医療製品規制庁(MHRA)トップのジューン・レイン博士は2日、ワクチンの審査で「手抜きは全くなかった」と主張。同庁では6月から、今回のワクチンの初期データを分析していたと説明した。

レイン氏は、「安全、品質、効果について一定の基準を満たさない限り、いかなるワクチンもイギリスでの供給は許可されない」と話した。

3日には、イングランド副主任医務官のジョナサン・ヴァン・タム教授がBBCに、MHRAを「とても信頼」していると表明。MHRAや、ワクチン接種の優先順位を政府に提言する委員会は、「100年(以上)の医学的経験」があると述べた。

ギャヴィン・ウィリアムソン教育相も、ワクチンのスピード承認について、MHRAの「優秀な臨床医たち」の貢献によるものだとした。

米FDAも近く承認か

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計では、アメリカの新型ウイルスの累計感染者は1400万人以上に達しており、死者は27万6000人を超えている(日本時間4日午前)。

ファウチ氏は、アメリカでも近く、ワクチンが承認されるとの考えを示した。

米食品医薬品局(FDA)は10日、ファイザーとビオンテックのワクチン承認をめぐる協議を予定している。17日には、米モデルナが開発したワクチンの承認について検討する。


ファウチ氏はこれまで、英当局より時間がかかるFDAの承認方法を「最高水準」のものと述べている。3日には、英米の方法について、「どちらが良いとか悪いとかではなく、違うだけ」と話した。

BBCのナオミ・グリムリー保健担当編集委員は、FDAの方法について、ワクチン開発メーカーに生データの提供を求め、それを時間をかけて分析するという、他国とは異なるものだと説明。

それに対し英MHRAや、オランダ・アムステルダムが本部の欧州医薬品庁(EMA)は、開発メーカーがまとめた報告書を重視して評価する方法を取っていると解説した。

欧州連合(EU)は29日に欧州医薬品庁(EMA)の会合を開き、ヨーロッパでのワクチン承認に向けて安全性などを検討する予定だ。EMAが承認した場合、さらに欧州委員会の承認が必要になるとみられる。


バイデン氏のチームと会談

ファウチ氏は3日、ジョー・バイデン次期米大統領の政権移行チームのメンバーと、新政権の新型ウイルス対策について会談した。

バイデン氏はこの後、新政権でもファウチ氏を新型ウイルス対策チームのトップに起用する考えを米CNNに述べた。

ファウチ氏は先に、アメリカで1月までにさらに25万人の死者が出る「恐れがある」と考えている点で、バイデン氏と同意見だと米CBSに述べていた。

一方、ドナルド・トランプ大統領とは、感染流行が始まった当初から衝突を繰り返してきた。ただ、ファウチ氏は3日、ホワイトハウスによって発言を妨害されたことはないと述べた。


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