2020年12月04日 11:54 公開

米ファイザーと独ビオンテックが共同開発した新型コロナウイルスのワクチンが3日、製造拠点のベルギーから英仏を結ぶユーロトンネルを経由してイギリスに到着した。イギリスは2日に同ワクチンの広範な使用を世界で初めて承認しており、来週にも接種が始まる見通し。

英政府はすでに、このワクチンを4000万回分(2000万人分)注文している。このうち80万回分が3日に到着した。

ワクチンは保管施設に運ばれたが、場所は公表されていない。この後、イギリス国内の病院の予防接種センターへ配布される予定。

イングランド副主任医務官、ジョナサン・ヴァンタム教授はBBCニュースの取材に対し、予防接種の第一弾で、新型ウイルスの感染症COVID-19関連の入院や死者を最大99%防ぐことができるとした。

ただそれには、予防接種の第一優先リストに含まれる全員がワクチンを接種し、高い効果が得られることが条件だとした。

ヴァンタム氏はワクチンを「できるだけ早く」「できるだけ大量に」配布するのが重要だとしつつ、優先リストにはある程度の柔軟性が必要だと認めた。

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予防接種を受ける順番は、予防接種・免疫合同委員会(JCVI)が推奨し、政府が決定する。

優先リストのトップは介護施設の高齢者や施設スタッフで、続いて80代以上と医療・介護スタッフとなっている。

病院にはすでにワクチンの保管に必要な、摂氏マイナス70度を保つ超低温保管設備がある。そのため、介護施設スタッフや英国民保健サービス(NHS)スタッフ、患者を対象とした予防接種の第一弾は、病院で行われる可能性が高い。

ヴァンタム教授はBBCニュースに対し、「もし(優先リストの)第一段階を終えて非常に高いワクチンの効果が得られ、非常に非常に高い接種率が得られれば、理論上はCOVID-19関連の入院や死亡の99%を回避できる」と述べた。


イギリスのマット・ハンコック保健相は4000万回分のワクチンのうち、初回分は来週中に、「数百回分」は12月中に、それぞれ配布されると説明している。

ただし、同国全土での供給の大部分は来年になるという。

イングランドNHS責任者のサー・サイモン・スティーヴンスによると、感染によるリスクが高いとみなされている全ての人がこのワクチンを接種するには、来年4月までかかる可能性がある。

ファイザーとビオンテックは、ワクチン接種者の95%をCOVID-19から守れるとしている。

累計死者数が6万人超、欧州初

公式データによると、イギリスでは3日、COVID-19と診断されてから28日以内に亡くなった人の数が414人増え、累計死者数が6万113人となった。死者数が6万人を超えたのは欧州で初めて。

新型ウイルス関連との記載がある死亡診断書や、平年の死者数をもとにした予想死者数より多い「超過死亡」に基づいた測定方法では、合計死者数はもっと多い。

こうした中、ワクチンの第一陣が同国に到着した。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると(日本時間4日午前時点)、イギリスより死者数が多いのはアメリカ(27万6148人)、ブラジル(17万5270人)、インド(13万8648人)、メキシコ(10万7565人)の4カ国のみ。

しかし、イギリスの10万人あたりの死者数はこれらの国よりも多く、ベルギーやサンマリノ、ペルー、アンドラ、スペイン、イタリアに次いで世界で7番目に多い。

米感染症対策トップ、早期承認を批判し謝罪

アメリカ政府の新型ウイルス対策に大きくかかわってきた米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ博士は2日、イギリスが世界で初めてファイザーのワクチンを承認したことに批判的な見方を示した

同氏は米フォックス・ニュースで「イギリスは慎重に検討しなかった。急いで、表面的に承認すれば、人々は接種を受けたいとは思わないだろう」と述べた。

一方イギリスは、ワクチンは安全で効果的だとし、同国の承認プロセスに問題はないとした。

その後、ファウチ氏はBBCの取材で先の発言を謝罪した。「本当に誤解があった。申し訳ない。発言について謝罪する」。

「私は科学的にも、規制当局の立場からも、イギリスが行っていることに大きな信頼を置いている」

「我々の(ワクチン承認)プロセスはイギリスよりも時間がかかるものだ。それは単なる現実に過ぎない。いいかげんだという意味合いで言ったつもりはなかった」


新型コロナウイルス特集

感染対策

(英語記事 First batch of Covid vaccines arrives in the UK