2020年12月06日 11:29 公開

ドナルド・トランプ米大統領は5日、ジョージア州で集会を開き、州知事や州議会議員を名指しし、自分が大統領選に勝つため選挙結果を覆すよう呼びかけた。またこれに先立ち、ツイッターや電話でもジョージア州のブライアン・ケンプ州知事(共和党)に、自分に協力するよう呼びかけた。

ケンプ知事と同州のブラッド・ラッフェンスパーガー州務長官(共和党)は11月20日にすでに、同州でバイデン氏が勝ったという結果を認定している。しかし、トランプ氏はこの結果を受け入れず、具体的な証拠を示すことなく自分が勝ったと主張。トランプ氏の支持者による脅迫や嫌がらせに、州の選管幹部が怒りの記者会見をする事態に至っている。

しかしトランプ氏は5日に連続ツイートで、ケンプ知事に州議会の臨時会を招集するよう呼びかけたほか、州南部ヴァルドスタで開いた集会でもケンプ氏や州議会議員の協力を求めた。

ジョージア州では11月3日の選挙で連邦上院の2議席が決まらず、両方とも1月5日に決選投票となる。もしこの両議席を民主党が獲得すれば、上院の過半数を獲得することになり、ジョー・バイデン次期大統領(民主党)の政権運営が大きく有利になる。逆に、上院で共和党が多数を維持すれば、バイデン政権の人事や予算など重要政策を阻止できるようになる。

米紙ワシントン・ポストによると、トランプ氏は5日午前にケンプ知事に電話で、不在者投票について署名の監査を要求するよう求めた。知事にそのような監査を命令する権限はなく、大統領の要請を断ったと、同紙は消息筋の話として書いている。

トランプ氏はその後、ツイッターで「ジョージアのブライアン・ケンプ知事や州務長官が、単純な署名確認を認めれば、自分はすぐにあっさりジョージアで勝つ。なのに、どうしてこの2人の『共和党員』は、ノーと言うんだ」と書いた。

これに対してケンプ知事は同じくツイッターで、「自分はすでに3度も署名の監査を求めた」と返答。するとトランプ氏は「そちらの部下は、君の言うことを聞かない。何を隠しているんだ?」とツイートした。さらに「少なくともただちに州議会の臨時会を求めろ。それなら簡単に、ただちにできる」と続けた。

数時間後にジョージア州の集会に出たトランプ氏は、そこでもケンプ知事は「もっとタフにならなくては」、「恥を知るべきだ」などと繰り返した。

ジョージア州の集会は、上院決選投票での応援を共和党支持者に呼びかけるためのものだった。この決選投票については、トランプ氏を支持する弁護士たちが「不正選挙なので投票するな」と集会で呼びかけたことから、共和党内で危機感が高まっている。

<関連記事>

トランプ氏は11月3日の投票日の数カ月前から、感染対策のため郵便投票が増えれば不正投票につながると繰り返していた。しかし、トランプ氏側近のビル・バー司法長官は1日、大統領選の勝敗を覆すような大掛かりな不正があったという証拠を、司法省はこれまでのところ発見できていないと述べた。

その前には米国土安全保障省のサイバーセキュリティー・インフラセキュリティー庁(CISA)が、不正の証拠はないという報告書を発表。今回の大統領選は「アメリカ史上最も信頼できるものだった」と述べていたCISAのクリス・クレブス長官はその後、トランプ氏に解任された。

大統領選ではバイデン次期大統領が選挙人(定数538人)のうち306人を獲得。これまでに各州知事が次々とバイデン氏の勝利を認定した結果、12月14日の選挙人団投票でもバイデン氏が正式に必要な票数を獲得するのが確実となっている。

トランプ氏は共和党多数のペンシルヴェニア州やジョージア州で州議会に働きかけ、11月3日の選挙結果を覆し、自分に投票する選挙人を選任させようとしているが、州知事がバイデン氏勝利の選挙結果を認定している以上、バイデン氏が必要な選挙人の票を獲得し、来年1月20日に就任する見通し。

米CNNによると、トランプ氏はケンプ知事に、臨時州議会を開き、自分に投票する選挙人を選ぶよう働きかけているという。

アメリカ大統領は国民の直接投票ではなく、国民が州ごとに選んだ選挙人が大統領候補に直接投票するという形式的な手続きで決まる。通常は国民の投票結果がそのまま選挙人の投票に反映されるが、今回の選挙ではトランプ陣営はそこに働きかけようとしているため、選挙人団の投票に注目が集まっている。

全国的な得票数は大統領を決めるものではないが、バイデン氏はトランプ氏に700万票以上の差をつけている。

ジョージア州に注目集まる

ジョージア州の連邦上院選では、共和党の現職2人が民主党の新人と来年1月5日に決選投票に臨む事態になっている。

デイヴィッド・パーデュー上院議員(70)はドキュメンタリー作家のジョン・オソフ氏(33)と、ケリー・ロフラー上院議員(50)はキリスト教バプテスト派のラファエル・ワーノック牧師(51)とそれぞれ争っている。

最近の世論調査では、ワーノック氏がロフラー議員に対して優勢で、パーデュー議員とオソフ氏は伯仲している。

現在の上院(定数100)では与党・共和党が52議席と僅差で過半数を維持している。また、11月3日の選挙の結果、現在は共和党が50議席、民主党が48議席(無所属2議席含む)となっている。

もしもジョージア州で共和党が1議席以上獲得すれば、上院の過半数は共和党になる。もしも民主党がジョージア州の2議席を得れば、50対50で与野党同数となる。上院採決ではその場合、上院議長の副大統領が投票するため、1月20日以降はカマラ・ハリス次期副大統領(民主党)が上院議長として膠着(こうちゃく)を打破する1票を入れることになる。

連邦下院はすでに、民主党が多数を維持することが確定している。

(英語記事 Trump presses Georgia governor to help overturn result