2020年12月07日 12:45 公開

イギリスの児童文学作家、故ロアルド・ダール氏(1990年逝去)によるユダヤ人への差別的発言について、ダール氏の遺族が謝罪した。

遺族と版権管理会社ロアルド・ダール・ストーリー・カンパニーによる声明は、ダール氏の公式ウェブサイトの目立たない場所に日付のない状態で掲載されていた。英日曜紙サンデー・タイムズが発見し、6日に報道した。

ノルウェー移民の両親のもと、英ウェールズで生まれたダール氏は、「チョコレート工場の秘密」や「マチルダはちいさな大天才」、「オ・ヤサシ巨人BFG」などの多数の人気作品の作者。「チャーリーとチョコレート工場」、「マチルダ」、「BFG: ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」など、多くの映画やテレビドラマ、ミュージカルなどになっている。


反ユダヤ主義的発言についての謝罪:全文

「ダール一族とロアルド・ダール・ストーリー・カンパニーは、ロアルド・ダールの一部発言が、大勢の人を長く苦しめてきたことを、深く謝罪します。

偏見に満ちた数々の発言は私たちにも理解できるものではなく、私たちが知るロアルド・ダール自身とも、何世代にもわたって若い人たちに良い影響を与えてきた、ダール作品の中心的価値とも、明らかに異なっています。

ロアルド・ダールはその優れた業績を通じて、言葉の永続的な影響力の強さを示しました。本人が残した最悪きわまりない言葉を通じても、ダールは言葉のそうした影響力を私たちにあらためて示したのだと思いたいです」


反ユダヤ主義への抗議団体「Campaign Against Antisemitism」の広報担当者は、ダール一族が「謝罪するのに30年もかかったことが残念だ」と語った。

「遺族がダール氏の反ユダヤ主義について謝罪するだけで、その大きな力を活用しようとしないのは残念だ」

「謝罪はもっと早く、かつはっきりとした形で公表されるべきだった。しかし長い年月がたった後でも、ダール氏の作品で利益を得ている人ですら、ダール氏の人種差別を認めたことは良い兆候だ」

ダール氏は1983年に英政治誌ニュー・ステイツマンの取材で、「ユダヤ人には、敵意を誘発する特性が備わっている」ようだと述べていた。

7年後の英紙インディペンデントの取材では、自分が「反ユダヤ主義になった」と認める発言をしている。

こうした発言についてダール氏は謝罪を拒否したため、ユダヤ人の間で反発が続いていた。

イギリス造幣局は2018年、ダール氏の反ユダヤ人主義を理由に、同氏の生誕100周年の記念硬貨を発行しないと発表している。

作品は現在も人気

その作品の人気の高さから、ダール氏の著作権を管理するロアルド・ダール・ストーリー・カンパニーは高い利益を上げ続けており、2018年度の税引前利益は1270万ポンド(約17億7000万円)。その大半が映像化契約によるもの。

今年10月にはアン・ハサウェイ氏主演で「魔女がいっぱい」が映画化されたほか、3月には米ネットフリックスが新たに「チョコレート工場の秘密」の映像化を発表している。

ロアルド・ダール・ストーリー・カンパニーは、「大勢に愛されている祖父の言葉について謝罪するのはつらいことだが、それがひとつのコミュニティー全体を深く傷つける言葉だというのは、さらにつらい」とコメントを追加。

「私たちはロアルドを愛しているが、その反ユダヤ主義的な発言には強硬に反対する。それがウェブサイトで謝罪した理由だ」と述べている。

(英語記事 Roald Dahl family sorry for author's anti-Semitism