2020年12月08日 11:38 公開

アメリカが感謝祭後の新型コロナウイルス感染者の急増対応に追われる中、感染症対策が専門のアンソニー・ファウチ博士は7日、クリスマス後にはさらに感染者が急増する恐れがあると警告した。

アメリカではこのところ、過去最多レベルの1日平均20万人近い感染者数が確認されている。入院者数もこれまでにない多さとなっている。

米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のファウチ氏は、米政府の新型ウイルス対策チームのトップを務めている。ジョー・バイデン次期大統領からは、引き続きその役割を担うよう要請を受けた。

ファウチ氏は7日、クリスマス時期の感染拡大に対する懸念は、感謝祭の時期の懸念と同じだと米CNNで発言。「(クリスマスのほうが)休暇が長い分さらに悪くなるかもしれない」と述べた。感謝祭後には仕事に戻る人が多い一方、クリスマスから新年にかけては事情が異なると指摘した。

また、クリスマス休暇の予定の変更や取り消しは誰にとってもいやだとしたうえで、「私たちは非常に重要な時期にいる。(中略)事実やデータを避けては通れない。全員にとって大変な状況だ」と話した。


先月26日の感謝祭の時期には、何百万人もの米国民が、移動自粛の専門家の呼びかけに従わなかった。感謝祭直後の日曜日(29日)には、飛行機で移動した人数が3月以降で最多を記録。そのことを背景とした新型ウイルスの感染拡大は、いまも続いている。

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食品医薬品局(FDA)のスコット・ゴットリーブ元長官は6日、アメリカの新型ウイルスの死者は1月末までに40万人近くに達する恐れがあると発言。「状況は今でもひどいが、もっと悪くなるだろう」と述べた。

同じ日には、ホワイトハウスの新型ウイルス対策チームで調整官を務めるデボラ・バークス医師がトランプ政権について、感染防止ガイドラインを無視し、感染流行に関する「誤った説」を広めていると批判した。

各州で厳しい対策

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、アメリカのこれまでの新型ウイルス感染者は1490万人を超え、死者は約28万3500人に上っている(日本時間8日午前)。ともに世界最多となっている。

ドナルド・トランプ大統領は、マスク着用などの感染対策を軽視していると非難されている。ただ、アメリカは州ごとに異なる対策を取っている。

カリフォルニア州は厳しいロックダウン(都市封鎖)を実施している。1日あたりの新規感染者が6日に過去最多の3万人に達したことを受け、州の大部分を対象に外出禁止を命じている。

同州南部では、集中治療室の空きベッドが定員の15%を下回っている。これが15%を超えるまで、州民約4000万人の85%近くが影響を受けているロックダウンは、最短でも3週間続けられる。


一方、ニューヨーク州のアンドリュー・クオモ知事は、退職した医師や看護師らに職場復帰を要請。今後5日間のうちに入院患者が減らなければ、ニューヨーク市内の飲食店の屋内での営業を禁止すると述べた。

ただ、ニューヨークでは7日、学校が再開された。学校での感染率が低いことから、低学年などで対面授業に踏み切った。

マサチューセッツ州のチャーリー・ベイカー知事は、感謝祭後の感染が「ロケット発射のように」急増していると述べた。

ニュージャージー、ノースカロライナ、ヴァージニア、ウエストヴァージニアの各州でも、1日あたりの新規感染者数が最多を記録した。

米国のワクチンの状況は?

FDAは米ファイザーが開発したワクチンを10日にも承認するとみられている。接種は承認から数日後に始まる見通し。

トランプ政権は、1月中旬までに最大2400万人にワクチン接種を実施したい考えだ。担当チームは、1月末までには高齢者の死亡率が大幅に減少するだろうとしている。

これらの目標については、現在の感染急増を考慮すると、達成は難しいとする専門家もいる。

バイデン次期大統領は7日、次期厚生長官にカリフォルニア州のハビアー・ベセラ司法長官を指名すると発表した。また、疾病対策センター(CDC)長官には、ロシェル・ワレンスキー氏を指名するとした。ファウチ氏は両者の指名を歓迎した。


新型コロナウイルス特集

感染対策

(英語記事 Fauci warns Christmas 'greater challenge' on Covid