2020年12月09日 11:24 公開

アメリカのジョー・バイデン次期大統領は8日、新型コロナウイルス対策として、来年1月20日の就任から100日間でワクチン1億回分の提供を目指すと表明した。

バイデン氏は、就任から数カ月では新型ウイルスのアウトブレイクは終わらせられないとした。ワクチン展開に関する詳細はほとんど明かさなかったが、新型ウイルスの感染症COVID-19の拡大状況を変化させるつもりだと話した。

また、「就任から100日間にわたりマスクを着用」するよう国民に求めた。

バイデン氏はこの日、デラウェア州で、新政権の保健チームのメンバーを紹介した。

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米食品医薬品局(FDA)は8日、米ファイザーと独ビオンテックが開発する新型ウイルスワクチンについて、95%の有効性が確認され、ワクチンの承認を停止するような安全性の懸念はないとする報告書を公表。10日にも承認される可能性が出てきた。

予防効果を得るには2度の接種が必要となるが、1度目の接種で重症化を89%防げるという。

注射した部分が赤くなったり腫れたり、一時的な疲労感や頭痛、筋肉痛などの副作用が報告されているが、いずれも軽度とされている。

こうした中、ドナルド・トランプ大統領はホワイトハウスで、COVID-19ワクチン開発計画「オペレーション・ワープ・スピード」に関する会議に出席。ワクチンの承認が期待されていることを歓迎した。

米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、アメリカではこれまでに1513万7712人が感染し、28万6117人が死亡している(日本時間9日午前時点)。感染者数、死者数共に世界最多だ。

入院患者が記録的な人数に上るなど、米国内の多くの場所で感染のピークが見られている。一部の専門家は11月末の感謝祭前後の休暇中に数百万人が国内を移動したことが要因だとしている。

バイデン氏の主張

バイデン氏は、次期厚生長官に指名したカリフォルニア州のハビアー・ベセラ司法長官や、疾病対策センター(CDC)の次期長官に起用するマサチューセッツ総合病院の感染症責任者、ロシェル・ワレンスキー氏を紹介した。

バイデン氏は「私の大統領就任から100日間で、COVID-19を終わらせることはできない。終わらせられると約束はできない。しかし、我々はこの混乱状況にすぐに陥ったわけではない。この状況からすぐに抜け出せはしない」と述べた。

また、最初の「100日間で、我々はこの感染症の状況を変えられる。そしてアメリカでの生活をいい方向へ変えられる」とした。

一方で、議会が超党派の協議をまとめ、緊急に資金調達しなければ、新型ウイルスへの取り組みは「失速し、行き詰まる」可能性があると警告した。

子どもたちが再び学校に通えるようにすることも優先事項だと、バイデン氏は述べた。

接種の詳細は示さず

アメリカ史上最大規模のワクチン接種計画をどのように実施するのかについては、ほとんど詳細を明かさなかった。

バイデン氏は先週、トランプ政権からワクチンの展開計画について何も教えられていないと不満を漏らしていた。現政権のワクチン開発計画「オペレーション・ワープ・スピード」の科学主任、モンセフ・スラウイ博士は今週にもバイデン陣営と面会するとみられる。

バイデン氏は米国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ氏を、新政権で新型ウイルス対策の首席医療顧問に指名している。ファウチ氏は現政権でも新型ウイルス対策チームのトップを務めているが、見解の違いをめぐりトランプ氏としばしば衝突している。

ホワイトハウスで何が

ファイザーとビオンテックが開発する新型ウイルスワクチンが10日にも承認される可能性が出てきたことは、主に現政権のワクチン開発計画「オペレーション・ワープ・スピード」での取り組みによるものだが、ワクチン接種は新政権の下で実施されることになる。

トランプ大統領はワクチンの承認が期待されていることについて、「みんな(ワクチンの承認は)奇跡のようなものだと言っている。私もそう思う」と述べた。

そして、「ワクチン接種を希望する全てのアメリカ人が受けられるようになる。来春までには、ほんの数カ月前まで誰も可能だとは信じていなかった状況になっていると思う」と付け加えた。

トランプ政権は1月中旬までに最大2400万人にワクチン接種を行いたい考えだ。

トランプ氏は8日、アメリカ国民の新型ウイルスワクチン接種を優先する大統領令に署名した。これまで掲げてきたアメリカ第一主義に沿ったものとみられている。

しかし、ワクチンを開発する米企業はすでに複数の国とワクチン提供に関する契約を結んでおり、今回の大統領令がそれにどんな影響を及ぼすのかは不明だ。

トランプ政権はすでにファイザーとビオンテックが開発するワクチン10億回分を確保する契約を締結している。しかし、ファイザー幹部によると、米政府はワクチンの追加供給の提案を何度も断ったという。同社は他国との契約もあり、6月までは米政府への1億回分の追加供給はできないという。


新型コロナウイルス特集

感染対策

(英語記事 Biden vows 100m vaccinations in first 100 days