2020年12月10日 14:16 公開

欧州医薬品庁(EMA)は9日、サイバー攻撃を受け、新型コロナウイルスワクチンに関連する文書がハッカーにアクセスされたと明らかにした。

EMAは9日、サイバー攻撃についてウェブサイト上に短い声明を発表。徹底的な調査を開始したとしつつ、攻撃の詳細は明らかにしなかった。

EMAの報道官は、同機関は今も「機能している」と述べた。

こうした中、米ファイザーとワクチンを共同開発する独ビオンテックはウェブサイト上の声明で、EMAへのサイバー攻撃で、同社の申請書類がハッカーにアクセスされたと明かした。

「本日、我々は(中略)EMAがサイバー攻撃の標的となり、EMAのサーバー上に保管されていた、ファイザーとビオンテックが共同開発するCOVID-19ワクチン候補BNT162b2の承認申請に関連する書類の一部が不正にアクセスされたと知らされた」

そして、「EMAは我々に、今回のサイバー攻撃が承認審査のスケジュールに影響を与えることはないと約束している」と付け加えた。

同社は、「公衆衛生上の重要な考慮事項と透明性の重要性を考慮して」ハッキングの詳細を公にしたと説明。

また、同社の医療研究に参加する個人のデータが漏えいした事実は「確認していない」とした。

EMAは欧州連合(EU)加盟国全域での医薬品使用を承認する権限を持つ。イギリスで8日に接種が始まったファイザーとビオンテックのワクチンのほかに、米モデルナが開発中のワクチンについても、安全性を調べている。ワクチンの承認作業は数週間以内に完了するとみられる。

今回、モデルナの資料もハッカーにアクセスされたのかは不明。

ワクチン開発めぐりハッキング相次ぐ

新型ウイルスのワクチンをめぐっては、製造会社や公衆衛生当局に対するハッキングが相次いでいる。

イギリスとアメリカ、カナダの情報機関は7月、ロシアのスパイが新型ウイルスのワクチン開発を進める組織を標的にしていると警告した。

10月には、インドに拠点を置く製薬会社ドクター・レディーズが重大なサイバー攻撃の被害を受けた。

また、米テクノロジー大手IBMは3日、ワクチンの輸送に必要な低温度保存のサプライチェーンがサイバー攻撃を受けたと明らかにした。国家的な攻撃の可能性があるという。

(英語記事 Vaccine documents hacked at EU medicines agency