2020年12月11日 11:38 公開

ボリス・ジョンソン英首相は10日、イギリスが欧州連合(EU)と通商協定で合意できないまま、ブレグジット(同国のEU離脱)の移行期間を終える「強い可能性」があると述べた。

ジョンソン氏は前日、EUとの通商交渉の行き詰まりを打開するため、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長とベルギー・ブリュッセルで会談したが、目的は果たせなかった

この日、会談後に初めて会見に臨んだジョンソン氏は、「今はまさに」企業や国民が「合意なき離脱」に備える時だと述べた。

イギリスとEUの交渉は続いているが、ジョンソン氏は通商協定で合意する状況には「ほど遠い」と話した。

イギリスは現在、EUの通商ルールに従っているが、年末の移行期間の終了をもってそれをやめる。

双方は公正な競争ルールや漁業権など重要分野で主張が対立しており、ここ数週間にわたる集中的な協議でも解決に至っていない。

「協定は遠い」

ジョンソン氏はイギリスの交渉団について、合意に向けて譲歩も辞さないとしていた。しかし、EU側がイギリスをEUの法制度に「閉じ込め」、従わない場合は関税などの制裁を科そうとしていると主張。「状況をかなり難しくした」と述べた。

ジョンソン氏はまた、EUの提案に従えば、今年1月にブレグジットが成立したにもかかわらず、イギリスは27カ国が加盟するEUと「双子」のままでいることを強いられるとした。

「現時点では率直に言って、協定はまだ遠い。それがこの内閣の支配的な見方だ」

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ジョンソン氏はさらに、「現状からすると」、EUと自由貿易協定を結ばないという「オーストラリア型の選択肢」に備えることも重要だと述べた。

「私たちは、カナダとEUとの関係より、オーストラリアとEUとの関係にずっと近い解決法に至る可能性が大きい」

オーストラリアはEUと自由貿易協定の交渉を進めているが、現時点では協定は締結しておらず、おおむね世界貿易機関(WTO)のルールにのっとって通商をしている。

EU側を批判

イギリスが年末をもってEUとの通商をWTOのルールで進めることになると、EUとの間で売買する物品の価格は関税によって上昇する。

カナダは2017年にEUとの間で協定を結んでいる。

ジョンソン氏は、EUのフォン・デア・ライエン氏との夕食会で「進展させようとかなり努力した」が、EUが事態を「不必要に困難に」したと話した。

BBCのジョナサン・ブレイク政治担当編集委員は、英官邸高官の話として、イギリス側は9日のEUとの夕食会で行き詰まりの打開に向けて新たな案を出したが、あいまいな反応しか得られなかったと伝えた。

また、交渉で進展がみられた場合は、双方とも13日の交渉期限を延長する考えだと報じた。

EUは緊急対策まとめる

一方、EUはイギリスとの間で通商協定が合意されなかった場合に備え、緊急時対応計画をまとめた。

ブレグジットの移行期間が終了した後も、イギリスとEU間で、空と陸の交通が滞らないようにするのが狙い。

また、双方の海域で最大1年間、または協定の合意に至るまで、漁業を認める可能性にも言及している。

EUは10日から2日間、ブリュッセルで首脳会談を開くが、ブレグジットは主要議題にはなっていない。

首脳会談の場に到着したフォン・デア・ライエン氏は、通商協定は「私たちの労働者や企業にとって公正」でなければならないと話した。

「公正さをめぐる微妙なバランスは、これまでのところ達成されていない」とし、13日に結論が出るとの見方を示した。

野党は合意を要求

ジョンソン氏が会見を開いたのに先立ち、最大野党・労働党のサー・キア・スターマー党首は、合意を達成するようジョンソン氏に強く要求。直面している問題は「解決可能」とした。

協定案を議会で承認するかと問われると、スターマー氏は、「検討し、国益のために行動する」と答えた。

「合意なしか、ありかで言えば、明らかに合意ありが国益に沿う」

(英語記事 'Strong possibility' of no trade deal with EU - PM