上西小百合(元衆院議員)

 あれよあれよと言う間に、新型コロナウイルスの「第3波」に直面した日本。

 「諸外国と比較するとコロナウイルスで亡くなった人の数が格段に少ない日本は、海外と比べて勝っている」などと、のんきに構えていた一部の国民も、この新型コロナの感染拡大の速さを見て考えを改めているのではないだろうか。

 一極集中した人口を抱え、日本経済の中心を担う東京都はもちろんのこと、地方都市の中心地である札幌市や大阪市などでも、これまでとはレベルの違う爆発的な感染拡大が見受けられる。そして私たちの命をつないでくれる医療現場では、急増する重症患者に対応することが困難になりつつある状況だ。

 そして政府は医療と経済との両立という観点で、なかなか手をつけようとしなかったGoToトラベルから、ようやく札幌市と大阪市を一時的に除外する決断を下した。

 新型コロナによって冷え込む経済を止めるわけにはいかないという理屈も分かるが、現在のように中途半端に自粛と解除(経済政策)を繰り返し続けていても、一向に事態は終息しない。

 それどころか繰り返すごとに感染者数は増加し、国民の命が失われ続けている。このままでは状況は悪化する一方だ。

 もっとも、経済面において中小企業や個人経営の飲食店などは、新型コロナのワクチンが日本で接種可能とされる2021年6月ごろまでに耐えきる体力をもう持ち合わせていない。さらに言えば、ワクチン接種が進み、人々が安心して経済活動ができるようになるには一層の時間を要するであろう。

 さらなる経済自粛になれば、飲食店などでは余った食材の廃棄、従業者の給与や賃貸費という多額の経費が待っている。そもそも飲食店たちは既にGotoイートやトラベルなどの経済政策への対応から、感染拡大予防ガイドラインに沿うための設備投資で莫大(ばくだい)な支出を既に余儀なくされている。
大阪府の新型コロナウイルス対策本部会議後に「医療非常事態宣言」と書かれた紙を示す吉村洋文知事=2020年12月3日、大阪市
大阪府の新型コロナウイルス対策本部会議後に「医療非常事態宣言」と書かれた紙を示す吉村洋文知事=2020年12月3日、大阪市
 「たられば」ではあるものの、本来であれば第7回連載でも述べたように、日本政府は春節前に中国からの観光客を入国制限しなければならなかった。しかし、中国人観光客が来なければ、これまた大変な経済的損失を被るため、さまざまな業界団体からの反発を恐れて新型コロナの上陸と流行に指をくわえて見るほかなかった。決断できなかった当時の政府が本当に恨めしい。

 個人的には、今からでもロックダウンのような対策が必要であると感じている。11月20日には東京都医師会が緊急会見を開き、「GoToトラベルについて、国には中断するという決断をしていただきたい。医療サイドから一度止めたほうがいいと呼びかけたい」と切実に訴えている。