この遅すぎるタイミングでの初赤信号は、「住民投票が終わるまでは経済界のご機嫌取りのために黄信号である必要があったけれども、住民投票に敗北した今となっては赤信号でも構わない」という判断を維新が行ったようにしか見えない。

 彼らが末永く政治家であり続けることを最優先に考えた場合には正しい判断かもしれないが、府民の命を守るという観点からすれば最低な判断だ。

 そんな吉村知事は先日、「安倍晋三前総理の桜の話とか学術会議の問題は国民の命に関わらないが、コロナは国民の命に関わる問題」と発言し、野党が国会で新型コロナ以外の案件で与党を追及していることについて批判した。

 けれども、自分自身が先月までしていたことについてはどのように考えているのだろうかと、相変わらず芯のない発言に驚かされてしまう。

 さらに言えば、国会議員としての在職期間が約1年とさほど経験がない吉村知事には分からないのかもしれないが、国会は地方議会と異なり規模が大きい。そのため、さまざまな案件を扱った上で同時に十分に進めていくキャパシティーがある。

 未曽有のコロナ禍にもかかわらず、日本の地方都市の一つである大阪での住民投票「ごとき」に心血を注ぎ、コロナ対応に割くべきだった多くの自治体職員のリソースと時間を奪った維新の吉村、松井両氏は真摯(しんし)に反省し、二度とこのような過ちを繰り返さないでほしい。

 また、吉村知事はGoToトラベルの対象から大阪市内を目的地とする旅行を外すよう国へ求めていたが、その直前まで「大阪・ミナミGoToEat」という、もはや住民投票前の大阪市民へのご機嫌取りのためのバラマキと見えるようなキャンペーンで市内に人を集めに集めていた。

 ミナミの飲食店は平日でも軒並み予約の取れない大盛況で、店舗側がいくら気をつけても密が多々発生してしまっていたという。

 中身のないパフォーマンスだけを続けていても人の命は救えないが、維新は過去の判断ミスを棚に上げてしらじらしいというか、発言が矛盾だらけなのだ。

 吉村知事には大阪府民の命を任せられている立場を今一度自覚して、先を見越し、党利党略を捨てた政策提言を行っていただきたい。そしてミスがあれば謝罪し、軌道修正をする勇気を持つことで、もう少しまともな新型コロナ対策ができるのではないかと思う。

 明日15日から運用開始を目指す大阪コロナ重症センターでは看護師確保のめどが立たず、必要な130人のうち80人ほどしか確保できていない状況で、他の自治体や自衛隊の支援要請をするほどまでに事態が切迫している。
臨時施設「大阪コロナ重症センター」を視察する大阪府の吉村洋文知事(左)-=2020年12月7日、大阪市住吉区万代東の大阪急性期・総合医療センター(彦野公太朗撮影)
臨時施設「大阪コロナ重症センター」を視察する大阪府の吉村洋文知事(左)-=2020年12月7日、大阪市住吉区万代東の大阪急性期・総合医療センター(彦野公太朗撮影)
 今後は維新特有の勢いで進める高慢な政策ではなく、地に足をつけた府民生活を縁の下の力持ち的な立場で、大阪府民支える吉村知事、そして維新の姿を期待したい。長い目で見れば、きっとその方が人気も続きますよ、吉村さん。