2020年12月14日 12:53 公開

イギリスと欧州連合(EU)は13日、ブレグジット(イギリスのEU離脱)をめぐる通商交渉を続ける方針を固めた。ボリス・ジョンソン英首相と欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が電話会談で合意した。

ジョンソン首相とフォン・デア・ライエン委員長は当初、13日を交渉の最終期限としていたが、電話後の共同声明で、「現時点ではさらに努力する責任がある」と説明した。

電話会談では、「解決していない大きな課題」について話し合ったという。

また、「この遅い段階でも協定を結べるかどうかを見極めるため」双方の交渉官にブリュッセルでの協議を継続するよう伝えることで合意した。

一方、交渉をいつまで続けるのかは言及しなかった。ブレグジットの移行期間は12月31日で終わる。混乱を回避するためには、それまでにイギリスとEUの各議会が協定を批准する必要がある。

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今年1月のブレグジットを受けた通商協議は難航しており、期限までに合意に至れなかった場合、EUとイギリスは来年1月1日から世界貿易機関(WTO)のルールにのっとって貿易を行うことになる。

協定なしとなれば国境管理が必要となるほか、関税が復活するため、価格が上昇する製品が出てくるとみられている。

フォン・デア・ライエン委員長は、ジョンソン氏との電話会談は「建設的で有用だった」と説明。

また、「我々は1年近い交渉に疲弊しており、何度も期限を破ってしまっているが、現時点ではさらに努力する責任があると考えた」と述べた。

一方のジョンソン首相は、「人生が続くかぎり希望はある」と述べ、イギリスが「交渉を諦めることはもちろんない」と話した。

その上で、合意なしとなるシナリオがなお「最も可能性がある」と繰り返した。

「私が見る限り、現時点では深刻で非常に難しい問題によってイギリスとEUの意見が分かれている。みなにとっての最善の策は(中略)WTO方式での通商に備えることだ」

交渉の焦点は

イギリスが離脱後もどれだけEUの経済ルールに従うかが、交渉の焦点となっている。

EUは、イギリスが単一市場に無関税でアクセスしつつ、製品や雇用条件、企業への補助金などでEUのルールに従わず、独自の基準を適用しようとしているのは不公平だとして、これを阻止しようとしている。

しかし関係筋によると、EU側はどちらかが基準を上げた場合にもう一方もそれに合わせるスキームを諦めたという。その上で、不公平な競争を阻止できる場合に限り、イギリスの逸脱を認める方針に切り替えたとみられている。

また、漁業権も大きな課題となっている。EUは、加盟国がこれまで通りイギリスの海域で漁ができるようにすべきと主張。これを認めない限り、イギリスの漁業関係者にEU市場への特別なアクセスを認めないとしている。

一方のイギリスは、これは主権国家として認められないと反発している。

政財界は交渉継続を歓迎

イギリス産業連盟(CBI)は、交渉継続で「希望が見えた」と歓迎。イギリス経済にとってEUとの通商協定は「必要不可欠であり、合意可能なもの」だと強調した。

全国農業従事者連盟も、合意なしとなれば業界に「大きな混乱」が生じると警告している。

さらに英小売協会(BRC)は、「30億ポンド(約4200億円)以上の食品関税により、小売業者は追加コストの一部を消費者に負担してもらう以外の選択肢がなくなるだろう」と指摘した。

イギリスと陸の国境を接するアイルランドのミホル・マーティン首相は、通商協定のないブレグジットは「全員にとって非常に悪いニュース」であり、双方の「政治手腕のひどい失敗」になるだろうと語った。

イギリス国内では、与党・保守党や最大野党・労働党の議員からも、交渉継続を歓迎する声が上がっている。

一方で、離脱派の保守党議員サー・ジョン・レッドウッドは、「イギリスをEUのさまざまなルールに縛り付ける、長くて複雑な法的合意は、イギリスが求めているクリスマスプレゼントではない」と苦言を呈した。

(英語記事 PM and EU chief agree to extend Brexit trade talks