2020年12月15日 12:09 公開

アメリカで14日、新型コロナウイルスのワクチン接種が始まった。国内のワクチン接種事業としては過去最大規模となり、来年4月までに1億人にワクチンを接種させる計画だ。

米ファイザーと独ビオンテック製のワクチンが数百万回分が、全国150カ所の病院に届けられた。

一方この日、アメリカでの新型ウイルスによる死者は30万人を突破した。

ニューヨーク州ロング・アイランド・ジューイッシュ医療センターの集中治療室で働くサンドラ・リンジー看護師は、ワクチン接種を受けた後、「癒やしが始まる気がする」と話した。

リンジー氏がワクチン接種を受ける様子は、ニューヨークのアンドリュー・クオモ州知事のツイッターアカウントが生中継した。ニューヨーク州は今年初め、流行の第1波でアメリカでの感染のホットスポットとなっていた。

「他のワクチンを打った時と違いは感じない。自分たちの歴史でとてもつらかった時期の終わりが、これで始まると思いたい。ワクチンは安全だと、世間に自信を持ってもらいたい。私たちはパンデミックの渦中にいるので、誰もができることをしなくては」とリンジーさんは語った。

ドナルド・トランプ米大統領は、ニューヨークでのワクチン接種のニュースに続き、「最初のワクチンが投与された。おめでとうアメリカ! おめでとう世界!」とツイートした。

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ファイザーとビオンテックのワクチンは11日、アメリカの食品・医薬品庁(FDA)から緊急使用の認可を得た。

ワクチン接種が始まったものの、アメリカでは感染拡大が続いている。

死者数は11月以降に急増し、COVID-19による入院患者数も増加傾向にある。COVID追跡プロジェクトによると、現在の入院患者数は10万9000人に上る。

ファイザーとビオンテックのワクチンは、臨床試験で95%の有効性が示された。このワクチンは、FDAが認可した最初のCOVID-19ワクチンでもある。

イギリスではすでに7日から接種が始まっており、カナダでも14日から予防接種が始まった。トロントの介護施設で働くアニタ・キダンゲンさんが最初の1人だった。

アメリカではまず、300万回分のワクチンが全50州に飛行機やトラックで運ばれた。

このワクチンは超低温で保存する必要があるため、ドライアイスを使った特別な梱包で運ばれている。また、GPS機能の付いた温度センサーで運送中の温度が管理されている。

初回出荷分は、医療従事者や介護施設の入居者が優先して接種する。そのため、ほとんどのアメリカ人は来年までワクチンを受けられないが、予防接種が始まったことで、パンデミックとの戦いが大きな転換点を迎えることになる。また、ワクチン接種率も高くなると期待されている。

一方で、病院側はワクチンを接種したスタッフについて、副作用を考慮したシフト調整を行っていると地元メディアは報じている。これまでに軽い疲労感や発熱、頭痛などの副作用が報告されているという。

研究者らは、深刻な副作用が起きる可能性はまれだとしている。

トランプ政権の幹部は当初、初回出荷分のワクチンを受ける予定だったものの、トランプ大統領はこの計画を取りやめたと話している。

トランプ氏は13日にツイッターで、ホワイトハウス職員は「特別な必要性がない限り(中略)ワクチンを後から接種するべきだ」と述べていた。

選挙人投票で大統領選での勝利が確定したジョー・バイデン次期大統領は、1月20日の就任後100日の間に1億人にワクチンを接種させる目標を掲げている。これはアメリカの人口のおよそ3分の1に当たる。

アメリカ政府はファイザーと、3月までに1億回分のワクチンを供給する契約を結んでいるほか、米モデルナが開発したワクチンも6月までに2億回分を確保する予定だ。

モデルナ製のワクチンは現在、FDAの許可を待っている状態。

(英語記事 'Healing is coming' says US nurse getting vaccine