2020年12月15日 12:40 公開

英イングランドの一部で新型コロナウイルスの新種が急速に広がっているのが確認されたと、マット・ハンコック保健相が14日、議会下院に報告した。

ハンコック氏は、60以上の自治体当局が、新型ウイルスの新種への感染を報告したと述べた。

また、すでに世界保健機関(WHO)に通知しており、イギリスの科学者らが詳しく調査していると説明。

この新種がこれまでのウイルスより悪い症状を引き起こすことや、ワクチンが効かないことを「示すものは何もない」と述べた。

「断固とした行動取る」

ハンコック氏は議会で、イングランドのロンドン、ケント、エセックスの一部、ハートフォードシャーで、先週末にかけて新型ウイルスの感染が急激に増えたと報告。

「(新型ウイルスの)新種への感染が1000件以上、イングランド南部で集中的に確認された。確認した自治体は60近くに上る」と述べた。

さらに、「新種なので影響範囲はわからないが、原因が何であれ、素早く断固とした行動を取る必要がある。残念だが、ワクチン接種が進む間、死に至るこの病気を抑制するにはそれが絶対に欠かせない」と話した。

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イングランド首席医務官クリス・ウィッティー教授は、ここ数週間ケントとその周辺地域で集中的に広がっている新種について、綿棒を使った現在の新型ウイルス検査で発見できると述べた。

新型ウイルスの変異は、細胞に感染する際に機能するスパイクタンパク質が関係している。新型ウイルスのワクチンは、このスパイクタンパク質を標的としている。

この変異が新型ウイルスの動きにどう影響するのかは、まだ正確にはわかっていない。


専門家の見方

英バーミンガム大学のアラン・マクナリー教授はBBCに、「取り乱すのはやめよう。これまでのものより伝染力や感染力があるとか、危険だということではない」、「注意すべきということだ」と述べた。

「この新種の特徴を見極め、出現について理解しようと、多大な努力が続けられている。通常のウイルスの進化なのだから、この新種に対して冷静さと理性的な見方を維持することが大事だ。時と共に新種は現れては消えるものだ」

一方、保健慈善団体ウェルカム・トラスト会長のジェレミー・ファーラー博士は、新種について、深刻な結果をもたらす恐れがあると述べた。

「監視と研究を続ける必要がある。新型ウイルスの先を行き続けるため、必要な対策を取らなくてはならない」

英ノッティンガム大学のジョナサン・ボール教授(分子ウイルス学)は、「多くのウイルスで遺伝情報は素早く変化する。そうした変化がウイルスに有利に働いて、効率的に伝染できるようになったり、ワクチンや治療の影響を受けなくなったりすることもあるが、多くの変化は何の影響ももたらさない」と説明。

「新型ウイルスの遺伝的な新種が出てきてイギリス各地や世界中に広がったとしても、純粋に偶然に起こることだ」、「そのため、遺伝的変化を研究して影響を見定めることが大事で、それまでは影響について語るのは早過ぎる」と述べた。


<解説>ジェイムズ・ギャラガー、保健・科学担当編集委員

すべての「新型」や「新種」を理解するための単純なルールがある。ウイルスの動きが変わったのかに注目することだ。

ウイルスは常に変異するので、これは非常に大事なことだ。今のところ、私たちは「恐れ」は得ているが、「答え」は手に入れていない。

ハンコック保健相は、イングランド南東部での新型ウイルスの急速な感染拡大に、新種が「関係しているかもしれない」と述べた。

この発言は、感染急増の「原因となっている」と言うのとは別だ。ハンコック氏は、人から人への感染拡大が簡単になるようにウイルスが進化したとは言っていない。

新種は、新型ウイルスとは無関係な理由で広がるかもしれない。

夏にかけて「スペイン種」が出現した理由の1つが観光だった。

現時点ではメディアに恐ろしい報道があふれているが、この新種がどれだけ深刻なのか、科学的なことはわかっていない。


新型コロナウイルス特集

感染対策

(英語記事 'New variant' of coronavirus identified in England